朝鮮神話との関連も興味深い。『三国遺事』によれば、朝鮮民族の朝鮮半島での始祖・檀君の妻は「熊女」とされている、女王が熊という表現は奇妙だ。『山海經』には、檀君が建国した当時、その地には「鬼国」があり、『後漢書』・『三國志』が記述する、天神を祀る天君、鬼国の末裔の姫が熊女だったと考えられる。『山海經』は言う。神が生まれたのは六合、黄海と日本海が重なる島々や海岸だと。
後に漢字が導入され、「拘奴国」が「熊襲」と呼ばれるようになり、この熊襲人の姫が「熊女」として語られるようになった可能性が高い。熊女は拘魔日女、魔は縄文人の神を中国人が言う漢字である。魔は「アマ」・「ヤマ」・「シマ」などの「マ」と同じで、住んだ場所を神の土地と表現したものである。
中国人が神の子の天子を戴いているのに、朝鮮に神(天)の王(君)を認めるはずがない。天神は倭人が祀る神と同じ神を祀ったもので、君は日本語の木神を意味したと考えられる。檀君は「マユミの木の神」を意味する、弓の原料の神である。中国の神は帝だ。
『三國史記』も扶余から、朝鮮半島に遣ってきて、先住民族の土地を奪い、また、婿入りして、篭の姓を賜姓され、朝鮮語の朴を名乗ったと記述されている。衛満も中国からの侵入者で、檀君は箕子朝鮮王を述べたものなのだろうが、箕子朝鮮は木神(鬼神)を祀る天君(王)が統治する、『山海經』が記述する鬼国の可能性が高い。君子国に王と認められた始祖が、君子国の王の君と同じ称号を持つ檀君なのだろう。
このように、中国、日本、朝鮮の神話にはつながりがあることが見えてくる。 中国に天子が存在しない天民の国と言われた『山海經』の神話時代に王が帯冠した丈夫国・周饒国・君子国が存在した。それらの地域に複数の配下の国を持つ倭国・拘奴国・東鯷国があった。
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