2023年3月29日水曜日

最終兵器の目  新『日本書紀』 神話8

  『日本書紀』や『舊事本紀』は九州の暦と畿内の暦を共に知っていた。そして、暦は神武天皇即位以前から記述されていた。すなわち、神屋()王朝と高千穂王朝の暦を知っていたのである。神屋王朝の人物が、高千穂王朝の暦を使わないし、反対も同じだ。なので、両王朝と交易を行った周饒国を構成する人物という事である。高千穂王朝は、大年神が神活須毘の娘の伊怒比賣を娶って、大國御魂神、韓神、白日神、聖神を生んだ、その聖神の後継王朝だ。聖や韓の地には中国の天子も来訪し、中国海内と接する場所で、暦も中国に影響される。大年神は大山津見の娘の市比賣と大人様・奈岐の命との子である。大人様・奈岐の命は加須屋の大海祇の子と宇都須山祇の子との子と思われる。宇迦之御魂神は兄弟で、大年神も大国御魂神を生んだ。大年神が生んだ中に三身国を構成する豊国が無いので、大国御魂神は豊国神と思われる。

 奈岐の命は加須屋大海祇の助けを得るため、大山祇の姫を娶った。後に出雲大山祇の姫を娶るので、出雲を付加しない大山祇は加須屋の大山祇の姫と思われる。六代目が出雲大山祇の娘を娶って、於漏知から独立する。この出雲大山祇は加須屋の大山祇の子孫の可能性が高い。奈岐の命は出雲大山祇の娘を娶って、子孫は美豆別之主と呼ばれる。この主は天津神の子達、加須屋大海祇の子孫で、久米部等を率いていた。そして、天菩比が国譲りを求めるが、『日本書紀』では大己貴、「むち」と宗像神で大国(但馬や丹波)も支配していた。建御雷之男は君子国の王、安寧天皇の孫で、建甕槌の剱を奪って尾張氏が皇位を奪った。なので、天菩比の子建比良邊が出雲国造の祖であるように、天菩比が国譲りさせた。

 国譲りされたのは「葦原中國」、「豊葦原之千秋長五百秋之水穂國」、「豊秋津嶋」である。仲国の安芸、広島県である。忍穂耳の妃は豊秋津師比賣、安芸の姫で、高木()神の娘である。すなわち、忍穂耳は君子国の神の配下の耳の冠位をもち、そして、安芸に婿入りした。だから、子の日子番能迩々藝は「豊葦原水穂國者汝將知國」なので、王になった。そして、もう一人の子の天火明は恐らく高木神の後継で、天道日女を妃にして、天香語山を生んだ。長男は後継者で、それ以外は、各地で婿入りする。若狭から琵琶湖への道の女王で高島(高岐)の王の高倉下とも呼ばれた。また、根国の淀川(難河)河口の王と思われる長髓彦の妹の御炊屋姫を妃にした。ただし、御炊屋姫を妃にしたのは、火明ではなく欝色雄と考えている。

 天津日子番能迩々藝は天忍日と天津久米を引き連れて高千穂に天下った。天津神の子の天津日子は瑞別主、配下に久米部がいる。天忍日は『舊事本紀』に「天忍日命大伴連等祖亦云神狭日命」と記述される。大伴連の祖すなわち日臣で、神武東征の一員だ。迩々藝は神阿多都比賣を妃にするが、天日方奇日方の亦名が阿田都久志尼で、君子国の姫と考えられる。すなわち、天津日高日子穗穗手見は葛󠄀木氏の始祖と考えられる。それを示すように、『日本書紀』には火明がいて、尾張連の祖で、尾張氏は葛󠄀木氏の分家である。すなわち、穗穗手見が葛󠄀木へ移住する、物部氏と同祖となる饒速日である。そして、火照、火須勢理、火遠理は『日本書紀』の豐吾田津姫が母で高千穂宮の人物と思われる。豊国の吾田君小橋等の本祖の火須勢理は日向襲津彦に繋がる人物である。すなわち、葛城氏の母系の穗穗手見、父系の火須勢理で、天狭霧神との血縁で物部氏と尾張氏が関連付けられた。狭い畿内で、血統は意味を持たない。どこかで、血統が交差する。


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