2023年3月22日水曜日

最終兵器の目  新『日本書紀』 神話5

  君子国は『続日本紀』に「唐人謂我使曰亟聞海東有大倭國謂之君子國」と記述される。大倭国は君子国の末裔だということだ。「君子国」は『山海經』の『海外東經』と『大荒東經』に記述される。北陸から東海地方にまたがる国のようだ。それは黃帝が生きた紀元前2千5百年より前から「君子国」と呼ばれた国が有った。だから、火炎土器を造った長野から新潟にかけて存在した縄文遺跡の国しか有り得ない。そして、『山海經』には君子国の北に「朝陽之谷神曰天呉是為水伯在北兩水間其為獸也八首人面八足八尾背青黃」と記述される地域がある。「八首人面八足八尾」と八岐大蛇そのものだ。両側に海がある能登半島のことで、君子国の配下のようだ。勿論八首の人などいないので、8国の人々が集まって、能登半島を拠点に軍隊を構成していたと考えられる。

 君子国は剣を帯びて軍隊を率いているようだ。すなわち、君子国は中心的な八国を統治する中心国である。それは、『海外東經』の青丘國・黑齒國・雨師妾國・毛民之國・勞民國が構成国と思われる。また、太平洋側の『大荒東經』の小人國・蒍國・中容之國・司幽之國・白民之國・青丘之國・黑齒之國・夏州之國も構成国と考えられる。とくに、 黑齒國は「食稻」と中国以外ではこの国以外、稻作の記述がない。『伊未自由来記』に於漏知は「踏鞴を踏んで金を作り、鎧・兜・盾・剣を作るので、それを用いた」と記述され、金属器を用いた。その為、人数は少なくても戦いは強かった。それは、『日本書紀』に素戔嗚の十握劒を欠かした、固い於漏知の尾の草薙劒と良く合致する。さらに、『伊未自由来記』は於漏知が出雲の地まで領域で、三つ子の島にも侵略した。それで、於母の島に逃げたが、守り切れず、加須屋の大神祇大神の援助を受け勝ったと記述している。

 それは、金属製の武器を携えた軍隊が存在して、その中心が君子国で隠岐全土を一時期統治したと言う事である。『出雲風土記』の「阿太加夜神社國引碑國引神話所以號意宇者國引坐八束水臣津野命詔」は有名な説話だ。この八束水臣津野命は八津神津臣津の命と書くべきと考えられる。それは、八国の津の国神の出身で、隠国の国神の港にいる将軍の意味で、於漏知の一人である。この人物は隠岐と出雲の意宇の間の航路を支配していたと考えられる。隠岐は畿内と朝鮮の中間点の給水ポイントで、重要な土地だから、手に入れたと思われる。

 八国は紀元前3千年以前から続き、アカホヤ後に舟での交易が始まったときから隆盛する。そして、海への出航の拠点の君主国が権力の中心となるのは必然である。沿岸航行なので、中継地毎に領地を持ったと思われ、その一つが出雲や糟屋だ。そして、海洋航行が得意な海士を配下にして、隠岐を中継地にした。目的地は朝鮮やウスリー川河口部と考えられ、八束水臣津野命の国引きの結果だ。そして、その海士は各地で子を残し、国を生んだ聖人である。帝俊など「帝」と呼ばれる、神の海中・天の子の天子で、肥後を拠点に活動したと思われる。


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