2023年3月17日金曜日

最終兵器の目  新『日本書紀』 神話3

  『出雲風土記』の國引神話の八束水臣津野命は八津神津臣津の命の意味と思われる。それは、八国の港神で隠岐の津の宮の国神の意味だ。すなわち、八国の海の、隠岐の津の将軍ということだ。そして、国引きしたのは隠岐の三小島と於母島と考えられる。国引きは「三身の綱」、三身国の力をかりた。それで、後代の宇都須山祇が加須屋の大海祇に助けを求め、その援助を子の奈賀の大人様に与えて、於漏知を撃破した。三小島が八国()の於漏知に支配されていた時、その王は宇都須山祇と呼ばれ、山(八魔)に支配された津神である。

 大人様は『山海經・海外東經』の初め、さ(+)丘の北、若狭の辺り、君子国の南に「大人国」が記述される。そして、「大人之市」が『海内東經』黄海にある。また、『大荒東經』に「大荒東南隅・・・日月所出・・・有波谷山者有大人之國有大人之市」つまり伊勢湾辺りにある。そして、『大荒北經』樺太近辺にも「有人名曰大人有大人之國」がある。初代大人様は「大海祇大神の姫をめとり」、六代目も「出雲大山祇神の姫をめとり」、その力を借りて勝った。大人様は大海祇の姫を娶ったから大人と呼ばれるようになったと思われる。勿論、大人ではなく、隠岐の宇津の日国出身の人、「隠宇日人」と考えられる。侏儒の周饒国人の中で、糟屋から来た2代目以降は大きかったのを中国人が見た。それを、逆輸入したと思われる。『古事記』で伊耶那伎が月讀に「知夜之食國」と隠岐の夜、宗教的地位を与えた。海神の姫が夜神(よみ)で大神誕生である。

 大人様は武器ではなく婚姻で糟屋・出雲を支配し、強大になった。これが、周饒国に帯冠だけで、帯剣が記述されない理由で、戦いは婚姻で配下にした人々に戦ってもらった。大人様は『海内東經』の領域の「志羅紀之三埼」、『大荒北經』の領域の「北門佐伎之國」と「北門良波之國」と『海外東經』の領域の「高志之都都之三埼」に領地を持った。『山海經』の大人国がある場所だ。『出雲風土記』の国引き神話は大人様・奈岐の浦命の説話だったのである。国生み神話の大八洲神話は国引きと交易の拠点を置いた説話と思われる。大八洲神話の頃、隠岐の津臣、津の対岸の若狭の道臣、糟屋の日臣、出雲の中臣という姓が始まったのではないか。

 その後、美豆別主が奈岐命の娘に婿入りして、奈岐の浦中の鼻に宮を立て、小之凝呂島を統治した。それで、周饒国は天津神の美豆別主が継いだ。すなわち、周饒国は丈夫国の支配下になって、王は出雲に住み、阿遅鍬高彦根と呼ばれた。阿遅鍬高彦根は若日子と友人で、若日子の妻は下照比賣だ。そして、『舊事本紀』では阿遅鍬高彦根と下照比賣は兄妹だ。若日子は於漏知から大国を奪った。そして、阿遅鍬高彦根命の子の奈賀の命が、丹波の須津姫を妃にして、大国王となった。

それで、生駒周辺の根国の「国譲り」があり、阿遅鍬高彦根の後裔が根国を支配し、倭國葛󠄀上郡髙鴨神に祀られた。すなわち、奈岐浦命が素戔嗚で奈賀命が大穴牟遲・大国主だ。男は糟屋や出雲・若狭等で子を生み、娘は現地に残し、息子は連れ帰って、奈岐の姫と婚姻したと思う。戦って国を支配するより合理的で、一番力のある国の姫の父や兄弟が甥や孫を守る。但し、これはもろ刃の剱で、複数の強力な氏族を残すことになる。それが、素戔嗚の娘達で、隠岐の姫の奥津嶋比賣、壱岐の市寸嶋比賣、但馬の姫と思われる多岐都比賣だ。


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