2022年12月30日金曜日

最終兵器の目  『日本書紀』欽明天皇類書1

  『舊事本紀』前川茂右衛門寛永版『帝皇本紀』は続けて「諱天國排開廣庭尊者男大迹天皇嫡子也母日皇后手白香皇子清寧天皇皇女也天皇愛之常置左右天皇幼時夢有人云天皇寵愛秦大津父者及壯大必有天下寤驚遣使普覓得自山背國紀伊郡深草里姓字果如前夢於是忻喜遍身歎未曽夢乃告之曰汝有何事荅之無也但臣向伊勢商價來還山逢二狼相鬪汗血在乃下馬洗(?+)口手祈請曰汝是貴神而樂鹿行儻逢狩士見禽尤速乃抑止相鬪拭洗血毛遂造放之俱合全命矣 天皇曰必此報也乃令近侍優寵日新大致饒富及至踐祚拜大藏故郷武小廣國押盾天皇四年冬十月天皇崩天國排開廣庭皇子尊令群臣日余幼年淺識未閑政事山田皇后朋閑百揆請託而決山田皇后搶謝曰妾蒙恩寵山河詎同万機之難婦女安預今皇子者敬老慈少礼下賢者日中不食以待士如以幼而欤脫早擅嘉聲性是寬和務存矜宥請諸臣等早令臨登位光臨天下矣」、【諱は天国排開広庭は男大迹天皇の嫡子、母は皇后の手白香で、清寧天皇の皇女だ。天皇はいつもそばに置き可愛がり、まだ幼いとき、夢で「天皇が秦大津父という者を寵愛すれば、大人になったら必ず天下を手にする」と言い、目覚めて、驚いて使者を派遣し、広く探すと山背国紀伊郡の深草里で夢の通りその名の人を見つけ、夢ではないと喜んでため息をついて、「お前にも何かあったか。」と告げると、「無い、ただ、私が伊勢に商売で訪れ、帰る時、山で二匹の狼が闘って血が噴き出ていたのを見たので、馬を下りて、手を洗い口を漱いで、”あなたは貴神なのに、帝王のようであり、あるいは狩人のように獲物を見つけて取り押さえる。”と言って、嚙み合った血の付いた毛を拭い洗って救い放った。」と告げ、天皇は「その報いだろう」と言って、そば近くで寵愛し、とても金持ちになったので、即位してから故郷の大蔵()に任じた。武小廣國押盾天皇の四年冬十月、天皇は崩じた。天国排開広庭皇子は、群臣に「私は若く知識も浅く、政事に余裕がない。山田皇后は政務に余裕があるから、政務任せなさい」と命じた。山田皇后は「私は山河のように恩寵をこうむっている。かりにも、困難な政事を婦女に容易く任せてはなりません。今、皇子は老人を敬い、小児を慈しみ、下々の賢者に感謝し、青年が幼児を待つように昼まで食事もとらず、待っている。また早くから抜きん出て、声望をほしいままにし、心広く、許そうとする。諸臣は、早く天下を治めるよう、即位するのを願いなさい。」と辞退した。】と訳した。

秦大津父の説話は即位前なので『日本書紀』の欽明前紀にあるが、欽明元年「高麗百濟新羅任那並遣使獻並修貢職召集秦人漢人等諸蕃投化者」と記述され、これは522年の「筑紫君葛子恐坐父誅獻糟屋屯倉求贖死罪」の磐井敗北により、交流を邪魔されていた朝鮮が日本との交流を復活させ、漢人は『梁書』の「大漢國」が支配する倭人、秦人は『漢書』から『三國志』で記述される「辰人」、『後漢書』からの「秦人」のことと思われ、倭奴國は俀国に国名を変え、大漢國が糟屋を奪って倭国を引き継いで倭国糟屋宮元年となり、それが、武内宿祢が婿入りした紀伊の秦大津父の説話に繋がったと思われる。

秦氏は『宋書』の古歌の中に「日出東南隅照我秦氏樓秦氏有好女自名為羅敷羅敷喜蠶桑采桑城南隅・・・頭上倭墮髻」と東南隅は畿内か関東と思われ、そこで養蚕を行い、宋の古歌なのだから晋以前の歌、『三国志』も『晋書』も韓地が秦人の影響下の国と記述され、同じ観点の秦と考えられる。

宋と同時期の雄略紀、この頃、倭が百濟と同盟して中国の将軍に任じられて、新羅に勢力拡大をし、そこから逃れてきた秦民が畿内に逃れてきたようで、分散して住まわせたが、古歌で歌われた秦氏の秦造酒が箴言して秦造にゆだねられ、これは、秦氏が元々辰王の後裔で、天君・君主国の神を祖に祀っていた人々だからと考えられる。

山田皇后は『古事記』には安閑の皇后に記述されず、尾輿が即位する時、最高権力者が山田皇后だったと言う事で、甕栗宮の目大連は十一世、継體天皇目大連は十三世、目大連の子の倭古連は十四世、その倭古の娘の阿佐姫・加波流姫が十三世の尾輿の妃、磯城嶋宮の目大連は十五世、同じく十五世の雄君の妃が十三世と思われる目大連の娘の豊媛、すなわち、継體天皇目大連は十二から十五世にまたがる襲名した目連がいて、十三世以降の其々目連の子に襲名した弟の倭古連が存在したと思われる。

甕栗宮目大連の家系と木蓮子の家系が互いに婚姻関係になったということで、磯城嶋宮の目大連は尾輿の娘と2代目継體天皇目大連の子の目連がいて、その2代目の子の目連が尾輿の娘婿になった3代目磯城嶋宮の目大連の可能性が高く、磐余に住んだ人物で、磐余甕栗宮目、磐余玉穂宮目と、そして、宮3代の磐余池邊雙槻宮目、これが目大連の娘婿の橘豐日と思われ、天皇は「穴穗部皇子陰謀王天下之事」と穴穗部皇子、子の守屋大臣が皇太子と思われる。

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