2022年9月21日水曜日

最終兵器の目  『日本書紀』仁徳天皇類書6

  『古事記』前川茂右衛門寛永版は続けて「其大后石之日賣命其()多嫉妬故天皇所使之妾者不得臨宮中言立者足母阿賀迦迩嫉妬尓天皇聞者吉備海部直之女名黒日賣其容姿端正喚上而使也然畏其大后之嫉逃下本國天皇坐高臺望瞻其黒日賣之舩出浮海以歌曰淤岐弊迩波袁夫泥都羅之玖文()漏耶夜能摩佐豆古和藝毛玖迩幣玖陀良須故大后聞是之御歌大忿遣人於大浦追下而自歩()追去於是天皇戀其黒日賣欺大后曰欲見淡道嶋而幸行之時坐淡道嶋遥望歌曰淤志弖流夜那尓()波能佐岐用()伊傳多知弖和賀久迩美禮婆阿波志摩()淤能碁呂志摩阿遅摩()佐能志麻母美由佐氣都志摩()美由乃自其嶋傳而幸行吉備國尓黒日賣命令大坐其國之山方地而獻大御飯於是爲煮大御羮採其地之菘菜時天皇到坐其嬢子之採菘処歌曰夜麻賀多迩麻祁流阿表()那母岐備比登々等母迩斯都米婆多怒()斯久母阿流迦天皇上幸之時黒日賣獻御歌曰夜麻登弊迩尓斯布岐阿宜弖玖毛婆耶()禮曽岐袁理登母和禮和須和禮米夜又歌曰夜麻登弊迩由玖婆()多賀都麻許能母理豆能志多用波閇都々由久波多賀都麻自此後時大后爲將豊樂而於採御綱柏幸行木國之間天皇婚八田若郎女於是太后御綱柏積盈御舩還幸之時所駈使於水取司吉備國兒嶋之()仕丁是退己國於難波之大渡遇所後倉人女之舩乃語云天皇者皆(比日)婚八田若郎女而晝夜戯遊若太后不聞()此事乎静遊幸行尓其倉人女聞此語言即追近御舩白之状具如仕丁之言於是太后大恨怒載其御舩之御綱柏者悉投棄於海故号其地謂御津前也即不入坐宮而引避其御舩泝於堀江随河而上幸山代此時歌曰都藝渥()布夜夜麻志呂賀波袁迦波能煩理和賀能煩禮婆()加波能倍迩淤斐陀弖流佐斯夫袁佐斯天能紀斯賀斯多迩淤斐陀弖流波毘呂由都婆()都婆岐斯賀波那能弖理伊麻斯芝賀波能比呂理伊麻須波淤富岐美呂迦母即自山代廻到坐那良山口歌曰都藝泥布夜夜麻斯呂賀婆()袁美夜能煩理和賀能煩禮婆阿袁迩余志那良袁須疑表()陀弖夜麻夜麻登袁須疑和賀美賀本斯久迩波()迦弖()良紀多迦美夜和藝弊能阿多理如此歌」、【大后の石之日賣は、とても嫉妬深くて、天皇の腰元は、宮中に入れず、何か言えば、地団駄を踏んで嫉妬した。そこで天皇は、吉備の海部直の娘の黒日賣が容姿が端正と聞いて、呼び上げさせた。しかし、大后の嫉みを恐れて、本国に逃げ下った。天皇は、高殿にいて、黒日賣が船で出て海に浮かぶのを望み見て歌()った。それで、大后は是の歌を聞いて、とても怒って、人を大浦に派遣して、船から降ろして、歩いて帰国させた。そこで天皇は、黒日賣を恋しく思い、大后に「淡道島を見たいと思う。」と騙して、行幸した時、淡道島で、はるか遠く望んで歌()った。それで島伝いに、吉備国に行幸した。そこに黒日賣は国の山方に迎え入れて、食事を準備した。煮つけ作ろうとして、そこのあおなを採る時に、天皇は乙女があおなを採む所にやって来て座って歌()った。天皇が帰る時、黒日賣が歌()を献上した。又、歌()った。この後、大后が行楽で、御綱柏を採りに、木国に行幸した間に、天皇は、八田若郎女を娶った。そこで大后は、御綱柏を船に積み満たして、還る時、水取司を使いにせかした。吉備国の兒島の雑役夫が自分の国に帰るのに、難波の大渡で、遅れて来た雑役婦と船で遇った。それで「天皇が、最近、八田若郎女を召して、昼夜を問わず戯れ遊ぶのを、もし大后が聞いたらと、こそこそ遊び行った。」と話した。この雑役婦が語るのを聞いて、船に追って近づいて、状況をつぶさに、雑役夫が言うように話した。それで大后はとても恨んで怒り、船に載せた御綱柏を、残らず海に投げ棄てた。それで、そこを御津前といった。それで宮に入らず、船を引き、避けて、堀江にさかのぼり、河のままに山代に上った。この時歌()った。それで山代から廻って、那良山の口について歌()った。】と訳した。

この記述は、吉備との友好を求めたことを述べたと思われ、神武東征時に、吉備で「脩舟楫蓄兵会」と援助を受け、平群氏も同盟を結ぼうとしたが、襲津彦の邪魔が入った事を示している。

品陀和気朝廷にとって、吉備は重要なバックボーンで、武内宿祢の妃と考えられるのが、大日本根子彦太瓊と紐某姉との子の若日子建吉備津日子の娘の伊那毘能大郎女で大碓(?襲名した武内宿祢)、小碓(?少名日子建猪心)、倭根子(?波多八代)を生んでいる。

さらに、 小碓は吉備武彦の娘の大吉備建比賣・吉備穴戸武媛を妃にして讃岐・伊豫・安芸と瀬戸内を支配下にし、まさしく吉備津彦遣西道西征で、これが、後の日向からの神武東征の援助される中継点となり、大碓は美濃国造の娘の兄・弟遠子を妃にしていて、美濃国造は『舊事本紀』「美濃國造輕嶋豊明朝御世元封弟彦命次定賜國造」と記述され、大碓が大雀に繋がって、輕嶋豊明朝天皇尾綱根→難波天皇尾張名(?尾針)根・皇太子意乎巳と兄弟の美濃国造弟彦→美濃国造神骨の娘を妃と対応している。

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