2021年10月29日金曜日

最終兵器の目  『日本書紀』一書 第九段21

  『舊事本紀』前川茂右衛門寛永版は続けて「・・・天孫遊息之後遊幸海濱之時詔長狹曰其於秀起浪穗之上起八尋殿而乎玉玲瓏織紝之美女是少女者誰之女子耶荅曰大山祇神之女子等大号磐長姬少号木花開姬亦名豐吾田津姬亦名鹿葦津姬矣天孫問美人日汝是誰子耶對曰妾是大山祇神之子名神吾田鹿葦津姬亦名木花開姬因白亦在吾姉磐長姬耶皇孫曰吾欲以汝為妻如何對曰妾在父大山祇神請以垂問矣皇孫因謂大山祇神曰吾見汝之女子欲以爲妻如何于時大山祇神乃大歡喜使二女持百机飲食奉送之時皇孫謂姉凶醜見長返送不御矣妹有國色引而華之則一夜有身故之姉磐長姬大慙恨謂詛之日假使天孫不行妾而御者生兒永壽有如磐石之常存今既不然唯弟獨見御故其生兒必如木花之移落矣磐長姬慙恨唾泣之日顯見蒼生者如木花之俄遷轉當褰去矣此世人短折其縁矣父山祇神白送言我之女二並立奉由者天神御子之命錐雪雨零風吹恒如磐石而常石堅石不動坐亦使木花之開姫者如木花之(?栄 草冠)々坐誓約貢進而返石長姫獨留木花開姫故天神之御子壽命者木花之阿摩比能微坐故是以至于今天皇命等之御命不長矣・・・」、【天孫は休息後に、浜辺にでて、長狭に「あの波頭の波の上に、八様式の1.8mの御殿を立てて、もそろもそろと機を織る美女は誰の娘か」と尋ねた。「大山祇の娘たちで姉を磐長姫、妹を木花開姫といいます。またの名は豊吾田津姫、またの名を鹿葦津姫と言います」と答えた。皇孫が美しい乙女に「お前は誰の娘か」と尋ねた。「私は大山祇の娘で、名は神吾田鹿葦姫、またの名を木花開姫といいます」そして、「また、姉の磐長姫がいます」と答えた。皇孫は「私はお前を妻にしたいが、どうだ」と言った。「父の大山祇がいるので父に尋ねください」と答えた。そのため皇孫は、大山祇に「私はお前の娘を見そめた。妻にしたがどうだ」と言った。大山祇は、とても喜んで、二人の娘に百の机台の引き出物持たせた。そのときに、皇孫は姉のほうを醜いと思い、召さずに返した。妹は美人であると、結婚した。すると、一夜で妊娠したため、姉の磐長姫は、大変恥じて「もし天孫が私を帰さないで召されたら、生まれる子は命が長く、岩のようにいつまでも死ななかったが、そうでなく、妹一人を召したので、生む子はきっと木の花のように、短く散り落ちてしまうでしょう」と恨んで言った。また、磐長姫は恥じ恨んで、唾を飛ばして泣きながら「この世に生きている人は、木の花のようにすぐに移ろい裾を持ち上げて逃げ去るだろう」と言った。これが、世の人の短命の由来だ。父の大山祇が、「私の娘を二人一緒に差し上げたのは、磐長姫を召して、天神の子の命が、雪や雨が降り風が吹いても、つねに岩のように永遠に変わらず、ゆるぎないように、また、木花開姫を召して、木の花が咲き栄えるように、繁栄するように、祈誓したが磐長姫を返し、木花開姫ひとりを留めたから、天神の子の寿命は、木の花のようにわずかなるだろう」と言った。それで、今でも天皇の寿命が長くないのである。】と訳した。

『古事記』前川茂右衛門寛永版は続けて「・・・是天津日高日子番能迩々藝能命於笠沙御前遇麗美人尓問誰女荅白之大山津見神之女名神阿多都比賣亦名謂木花之佐久夜毘賣又問有汝之兄弟乎荅白我姉石長比賣在也尓詔吾欲自合汝奈何荅白僕不得白僕父大山津見神將白故乞遣其父大山津見神之時大歓喜而副其姉石長比賣令持百取机代之物奉出故尓其姉者因其凶醜見畏而返送唯留其弟木花之佐久夜毘賣以一宿爲婚尓大山津見神因返石長比賣而大恥白送言我之女二並立奉由者使石長比賣者天神御子之命雖雪雨零風吹恒如石而常堅不動坐亦使木花之佐久夜比賣者如木花之榮坐宇氣比弖貢進此令返石長比賣而獨留木花之佐久夜毘賣故天神御子之御寿者木花之阿摩比能微坐故是以至于全天皇命等之御命不長也・・・」と、『古事記』は『舊事本記』の簡略型で、場所が笠と長が異なるが、前項では共に笠狭から韓国と真直ぐに行けると記述し、同じ場所と理解でき、本来の狭国の後継王は長女で、長狭の姫の石(磐)長姫と『舊事本紀』の神話が基と解る。

そして、『古事記』も『舊事本記』は自称で「神吾田鹿葦津姫」と名乗り、神国・三国の女王で、それから考えると、木花開姫は木国の姫で八国配下神倭時代の名前と考えられる。

さらに、天降った天孫が天の神子(みこ)に変り、世代が違っても同名が使われている火明の神話を使った可能性が有り、尾張氏の祖天火明櫛玉饒速日を背景にした国譲りの『舊事本記』で天神子と呼び、『日本書紀』では天孫の子の火明を尾張氏の祖と呼び、天神子は彦火火出見が最初と記述される。

すなわち、『舊事本記』では火明から神子で、瓊瓊杵の子の火火出見と神武天皇の火火出見が同名、忍穗耳の兄弟の火明と瓊瓊杵の子の火明が同名、これが、神倭磐余神武天皇と磯城瑞籬神武天皇のズレと考えられ、2つの王朝のズレを火明と火火出見が担い、火明の王朝の尾張王朝が原因と考えられる。

そして、狭国の女王を捨てて、木国の女王を取ったから、直ぐに八国に支配されることになったと戒めたのだろうか。


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