2025年2月7日金曜日

最終兵器の目  新しい古代の神話 尾張氏の神話4 兄妹と罪

  火明の子である天香語山は、異妹である穗屋姫を妃にしている。異妹とは、母の天道日女の姉妹の夫の血統を持つ娘が穗屋姫と考えられる。異妹は母方の義妹、異母妹は父方の姉妹の義妹と考えられる。

伊波礼毘古は阿多小椅君の娘の阿比良比賣を妃にし、子の多藝志美美が大物主の娘の伊須氣余理比賣を妃にした。天村雲は阿比良比賣の娘か姪の阿俾良依姫を妃にしたのだから、父の香語山の妃の穂屋姫は大物主の妃の三穂津比賣の姉妹の可能性が高い。事代主は三穂津比賣の居る出雲國三穗之碕で薨じ、天道根は大屋彦・大屋姫を祀っている。すなわち、天道日女の姉妹や姪も天道根の出身地の三穗の姫であることを意味し、事代主の妹の髙照光姫も三穗にいたと考えられるので、天道日女の兄の天道根は髙照光姫を妃にした可能性が高い。三穗は三野穂国のことだろう。

異母妹や異妹の婚姻は、一王朝が100年以上続くことがある一世代なので、この婚姻は個人の兄弟姉妹の婚姻の意味ではありえない。いくら古代でも、血縁親族間の婚姻は遺伝に悪影響を及ぼすことを理解していたと思われる。氏族間の兄弟関係である。

『おお祓い』の祝詞には「己が母犯罪」と「己が子犯罪」を国津罪に入れている。しかし、木梨輕皇子と同じ母を持つ妹である輕大娘女との恋が「畏有罪而黙之」とされるように、この恋は罪と理解されている。つまり、同父母の妹である輕大娘女は母と同じと思われ、母は神であり、自分の娘も同じ神なので、娘も母の娘も祖神と一体であり、自分の神を犯すことになるから罪なのである。したがって、輕皇子がもし輕大娘女の娘である姪を犯すなら、子を犯す罪になる。ただし、輕大娘女は妹ではなく、母の妹の叔母の田井中比賣(弟比賣)のことである。

古代の王朝は、王と王妃、王妃の弟と王の妹が婚姻し、次世代はその従弟同士が婚姻するのが基本なので、王朝は長くて100年程度で崩壊する。だから、他氏の血を入れるため、婿や嫁の姉妹と婚姻する。すなわち、庶妹や異妹や異母妹は異なる姻戚氏族の娘を意味するのだろう。敏達天皇の子である小墾田皇女と彦人大兄皇子が婚姻しているが、実際は兄妹ではないため罪にならない。

史書の兄妹の婚姻は最低でも従妹や義妹の婚姻を示し、姉妹の婿の名が兄弟として記述されている。兄弟の記述でも男子が極端に多いのは、婿を記述しているからと考えられる。

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