2025年2月5日水曜日

最終兵器の目  新しい古代の神話 尾張氏の神話3 お天道様

  尾張氏の祖の天火明の妃は天道日女であり、天道日女は高御産巣日の子である天道根の妹と考えられる。名前は人物を特定する重要なもので、天道と言えばだれもが知っている、恐らく、淡海の道の王で、紛らわしい人物が存在しない人物だろう。

「国造本紀」に、紀伊國造は天道根が賜姓されたとあるが、『日本書紀』の紀伊国荒河戸畔、『古事記』の木国造荒河刀辨が説話での初出で、遠津年魚目目微比賣の父である。遠津氏は天狹霧の娘の遠津待根、天照大神の化身の狹霧から生まれた子である。

『舊事本紀』では紀伊国造の初出が天道根、次が建斗禾の義兄の智名曽であり、最後が『古事記』の伊勢大神の宮を祀った豐鋤比賣の祖父だ。そして、紀伊国造は野洲の神の大屋彦と大屋姫を祀る伊勢遺跡の人物である。野洲近辺の日野町に大屋神社があり、創建が『新撰姓氏録』には「大屋首ハ天道尼乃命孫比古麻夜真止乃命之後也」のように天道根の孫の比古麻夜真止の後裔の大屋首と記述されている。

『古事記』では木國造の祖を宇豆比古、『日本書紀』では珍彦に椎根津彦の名を与え、『古事記』では槁根津日子を倭國造の祖と記述している。倭國造は仁徳朝の比香賀君も祖としており、それ以前は倭國王が天皇であったと考えられる。倭國造が賜姓されるのは雄略天皇の時代であり、吾子篭が大倭國造として登場している。仁徳朝の時代には、倭屯田が山守の領地であり、山守を滅ぼした麻呂が倭直の祖と記述されるように、大山守が倭国を支配していたと思われる。

この倭、大屋神社がある夜真止の中に木国があった。大和は天皇が治める首都があり、その首都に国造を任命するのは矛盾している。実際は扶桑国大和の天皇が女国(淡海)の倭の天皇を名目上任命したと述べられているのだろう。大海姫を『舊事本紀』は尾張大倭媛と記述し、倭が海を意味することが解り、倭国造は海(淡海)国造である。女国の大臣は比布禮で、木国造が大臣になり、丸迩臣である。

高浜の皇子である天火明は、紀伊国造になる天道根の娘を妃にしたが、高御産巣日の子の天道根が高浜に縁がないのは奇妙だ。しかし、高浜の名を持ちながら婚姻が記述されていない人物もいる。事代主の妹である髙照光姫である。髙照光姫は天照大神と考えられ、私たちは日神を「お天道様」と呼んでいるが、天道根の名は偶然とは思えない。

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