2021年6月7日月曜日

最終兵器の目  『日本書紀』一書 第五段5

  一書()は続けて、「・・・時伊弉諾尊恨之曰唯以一兒替我愛之妹者乎則匍匐頭邊匍匐脚邊而哭泣流涕焉其淚墮而爲神是即畝丘樹下所居之神號啼澤女命矣遂拔所帶十握剱斬軻遇突智爲三段此各化成神也復剱刃垂血是爲天安河邊所在五百箇磐石也即此經津主神之祖矣復剱鐔垂血激越爲神號曰甕速日神次熯速日神其甕速日神是武甕槌神之祖也亦曰甕速日命次熯速日命次武甕槌神復剱鋒垂血激越爲神號曰磐裂神次根裂神次磐筒男命一曰磐筒男命及磐筒女命復剱頭垂血激越爲神號曰闇龗次闇山祇次闇罔象然・・・」、【ある時に、伊奘諾は、恨んで「唯、一児と、私の愛しき妻と替えられない」と言い、則ち頭のあたりで腹ばい、脚のあたりで腹ばい、啼きに泣いて涙を流した。その涙が墮ちて神となった。これがすなわち畝の丘の樹の下に居る神だ。啼澤の女と名付けた。とうとう帯びた十握の劒を拔いて、軻遇突智を斬り三段にした。それぞれ神と化り成った。また、劒の刃から垂る血が、天の安の河邊に在る五百箇の磐石となった。すなわちこれは、經津の主の神の祖だ。また、劒のつばから垂れる血が、激しく飛び越えて神となった。名付けて甕の速の日神という。次に熯の速の日神。その甕の速の日神は、武の甕槌の神の祖だ。または、甕の速の日という。次に熯の速の日。次に武の甕槌の神。また、劒の切っ先から垂れる血が、激しく飛び越えて神となる。名付けて磐の裂の神という。次に根の裂の神。次に磐の筒男。他の言い方で、磐の筒男及び磐の筒女という。また、劒の頭から垂れる血が、激しく飛び越えて神となった。名付けて闇の龗という。次に闇の山祇。次に闇の罔象。】と訳した。

斬軻遇突智を切った十握剱は「噴之狹霧」とやはり『舊事本紀』の主神の狹霧を接頭語にした「田心姫・湍津姫・市杵嶋姫」を生んだ「須佐之男」の剱で、八岐大蛇を退治した剱でもあり、「須佐之男」を主人公にした「丈夫国」の神話で、速水の門近辺の曲浦で釣りをしていた珍彦は紀伊国造りの祖で岡縣主祖は熊鰐で、珍彦の神話と考えられ、宗像近辺の神話と考えられる。

すなわち、この啼いているのは、伊弉諾ではなく「此神有勇悍以安忍且常以哭泣爲行」と記述するように素戔嗚と考えられ、武甕槌は出雲臣の子の沙麻奈姫の子で、素戔嗚が根国に行く途中で住んだ場所が「出雲之清地」である。

そして、「龗」は『古事記』に速須佐之男と櫛名田比賣の子の八島士奴美とその妃で大山津見の娘の木花知流との子の布波能母遲久奴須奴、その妃の日河の父が「淤迦美」で丈夫国王が八国を支配下にしたことを記述しているが、出雲臣の子達が出現する神話なのだから、崇神天皇以降の神話で、『後漢書』の「女王國東度海千餘里至拘奴國」の拘奴国の神話の可能性が有る。


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