2021年6月14日月曜日

最終兵器の目  『日本書紀』一書 第五段8

  次の一書は、一書()一書曰伊弉諾尊拔剱斬軻遇突智爲三段其一段是爲雷神一段是爲大山祇神一段是爲髙龗又曰斬軻遇突智時其血激越染於天八十河中所在五百箇磐石而因化成神号曰磐裂神次根裂神兒磐筒男神次磐筒女神兒經津主神倉稻魂此云宇介能美拕磨少童此云和多都美頭邊此云摩苦羅陛脚邊此云阿度陛熯火也音而善反龗此云於箇美音力丁反吾夫君此云阿我儺勢湌泉之竈此云譽母都俳遇比秉炬此云多妣不湏也凶目汚穢此云伊儺之居梅枳枳多儺枳醜女此云志許賣背揮此云志理幣提爾布倶泉津平坂此云餘母都比羅佐可尿此云愈磨理音乃矛()反絶妻之誓此云許等度岐神此云布那討()能加微檍此云阿波岐」、【一書に、伊奘諾が、劒を拔いて軻遇突智を斬り、三段にした。その一段は雷神、一段は大山祇神、一段は高龗となった。また、軻遇突智を斬る時に、その血が激くのり越えて、天八十河の中に在る五百箇磐石を染めて化り成った神を、なづけて磐裂神という。つぎに根裂神・兒磐筒男神。次に磐筒女神・兒經津主神。倉稻魂を「うかのみたま」という。少童を「わたつみ」という。頭邊を「まくらへ」という。脚邊を「あとへ」という。熯は火だ。龗を「おかみ」という。吾夫君を「あがなせ」という。竃泉之竈を「よもつへぐひ」という。秉炬を「たひ」という。不須也凶目汚穢を「いなのしこめききたなき」という。醜女を「しこめ」という。背揮を「しりへでにふく」という。泉津平坂を「よもつひらさか」という。尿を「ゆまり」という。絶妻之誓を「ことど」という。岐神を「ふなとのかみ」という。檍を「あはき」という。】と訳した。

次の一書は、一書()一書曰伊弉諾尊斬軻遇突智命爲五段此各化成五山祇一則首化爲大山祇二則身中化爲中山祇三則手化爲麓山祇四則腰化爲正勝山祇五則足化爲䨄山祇是時斬血激灑染於石礫樹草此草木沙石自含火之縁也麓山足曰麓此云簸耶磨正勝此云麻沙柯菟一云麻左柯豆䨄此云之伎音烏()含反」、【一書に、伊奘諾は、軻遇突智を斬り、五段にした。これが各五の山祇となった。一は首が大山祇。二は身中で中山祇。三は手で麓山祇。四は腰で正勝山祇。五は足で䨄山祇となった。この時、斬る血が激く灑き、石礫・樹草に染った。これが草木・沙石が自づから火をはなつ縁だ。山の足を麓という。これをはやまという。正勝を「まさか」という。あるいは「まさかつ」という。䨄を「しぎ」という】と訳した。

次の一書は、一書()一書曰伊弉諾尊欲見其妹乃到殯斂之處是時伊弉冉尊猶如生平出迎共語已而謂伊弉諾尊曰吾夫君尊請勿視吾矣言訖忽然不見于時闇也伊弉諾尊乃舉一片之火而視之時伊弉冉尊脹滿太髙上有八色雷公伊弉諾尊驚而走還是時雷等皆起追来時道邊有大桃樹故伊弉諾尊隱其樹下因採其實以擲雷者雷等皆退走矣此用桃避鬼之縁也時伊弉諾尊乃投其杖曰自此以還雷不敢来是謂岐神此本號曰来名戸之祖神焉所謂八雷者在首曰大雷在胸曰火雷在腹曰土雷在背曰稚雷在尻曰黑雷在手曰山雷在足上曰野(?里+)雷在陰上曰裂雷」、【一書に、伊奘諾は、その妻を見ようとして、もがりの處に着いた。是の時に、伊奘冉は、なお平生のように、出迎えて共に語った。すでに伊奘諾は「私の旦那様、お願いだから見ないで」と言った。言い終わって忽然と見えなくなった。その時は闇かった。伊奘諾は、一片の火を持ち上げて視た。その時に伊奘冉は膨れ上がって頭上を過ぎ去った。上に八色の雷公がいた。伊奘諾は、驚いて走り還った。この時に、雷達は皆起きて追って来た。その時に、道の邊に大きな桃の樹が有った。それで、伊奘諾は、その樹の下に隱れ、それでその實を採り、雷に擲げたら、雷達は、皆逃げ帰った。これが桃で鬼を避る縁だ。その時に伊奘諾は、その杖を投て、「ここから雷が還り、敢て来ない」と言った。これを岐の神という。本の號は來名戸の祖の神という。八の雷と謂ふ所は、首に在る大の雷。胸に在る火の雷。腹に在る土の雷。背に在る稚の雷。尻に在る黒の雷。手に在る山の雷。足の上に在る野の雷。陰の上に在る裂の雷。】と訳した。

次の一書は、一書(10)一書曰伊弉諾尊追至伊弉冉尊所在處便語之曰悲汝故来荅曰族也勿看吾矣伊裝諾尊不從猶看之故伊弉冉尊恥恨之曰汝已見我情我復見汝情時伊弉諾尊亦慙焉因将出返于時不直默歸而盟之曰族離又曰不負於族乃所唾之神號曰速玉之男次掃之神號泉津事解之男凢二神矣及其與妹相鬪於泉平坂也伊弉諾尊曰始爲族悲及思哀者是吾之怯矣時泉守道者白云有言矣曰吾與汝已生國矣奈何更求生乎吾則當留此國不可共去是時菊理媛神亦有白事伊弉諾尊聞而善之乃散去矣但親見泉國此既不祥故欲濯除其穢惡乃往見粟門及速吸名門然此二門潮既太急故還向於橘之小門而拂濯也于時入水吹生磐土命出水吹生大直日神又入吹生底土命出吹生大綾津日神又入吹生赤土命出吹生大地海原之諸神矣不負於族此云宇我邏磨穊茸」、【一書に、伊奘諾が追って伊奘冉のいる所に来て、「お前をいとしいとおもうから来た」と語った。「私を見るな」と答えた。伊奘諾は従わないで見た。それで、伊奘冉は、恥じ恨んで、「お前はすでに私の気持ちを知った。私もお前の気持ちを知ろう」と言った。その時に、伊奘諾はまた恥じて恨んだ。それで、帰ろうとした。その時に、ただ黙って帰らず、「お前を氏族を追放する」と誓った。「私の氏族は負けない」と言った。すなわち唾く神を、號けて日速の玉の男という。次に掃う神を、泉津の事解の男と名付けた。凡て二神。その妹と泉の平坂で闘うに及んで、伊奘諾が「氏族が悲く、思い哀れむことを、私は怯えている」と言った。その時に泉の守道が、「『わたしがお前と既に国を生んだ。どうして更に生きることを求める。私はこの国に留って、一緒に帰らない』と語った」と言った。この時に、菊理媛の神がまた言った。伊奘諾が聞いて善んだ。それで逃げ去った。ただし親ら泉國を見た。これは既に不祥だ。それで、その穢らしい悪を濯ぎ除おうと思って、往き粟門及び速吸の門を見た。しかし、この二門は、潮がとても急だった。それで、橘の小の門に還り向って、拂い濯いだ。その時に、水に入って、磐土を吹き生んだ。水を出て、大の直日の神を吹き生んだ。又入って、底土を吹き生んだ。出て、大の綾津日の神を吹き生んだ。又入って、赤土を吹き生んだ。出て、大の地海原の諸の神を吹き生んだ。不負於族を「うがらまけじ」という。】と訳した。

一書()から一書(10)は、軻遇突智によって分国した其々の国々の国の始祖の神を述べていて、5国への分国は壱岐・対馬(津岐)・隠岐・讃岐・八岐のことで、一書()と一書(10)は八岐が文字通り8国で、おそらく、野洲の「野岐」を「八」の文字に割り振ったと考えられ、8国名と8神名の説話と考えられ、大国・日国・土(津神)国・稚国・黑国・山国・野国・裂()国で、軻遇神と対の神の菊理媛とその子達八の祖神の魂神・事の 開神・磐神・大直日神・底神・大綾津日神・赤神・大地海原神と考えられる。

雷公の公は八岐大蛇に支配される宮主の脚摩乳を老公と呼び、垂仁天皇で初めて郡公と美濃国の弟彦で使用し、雄略天皇が一事主に対しても「公」と呼んでいる。

すなわち、雄略天皇が中国文献を読んで「公」の文字を使用し始めたことが解り、尾張姓を得るのが大臣尾綱根で、「伊我臣祖大伊賀彦」、「大彦命・・・伊賀臣凡七族之始祖」と大彦・大伊賀彦が母系で雷は伊賀槌と考えられ、弟彦の父尾綱根が尾張姓を賜姓されそれまで姓が無く、尾張朝廷の天皇だったと思われ、前の朝廷の家系の王に公の文字を使用したと考えられる。


0 件のコメント:

コメントを投稿