2018年6月27日水曜日

最終兵器の聖典 神々の盛衰1・・・神話分析

 私はこれまで『日本書紀』は天氏、『古事記』は巨勢氏、『先代旧事本紀』は物部氏の史書だと述べてきたが、神産みを比較すると、最後に書かれて一番たくさん神産みをするべき『日本書紀』が一番少ないことに気づく。
『日本書紀』の神産みは「國常立尊 國狹槌尊 豐斟渟尊」、『古事記』は「天之御中主神(神産巣日神 高御産巣日神) 宇摩志阿斯訶備比古遅神(天之常立神) 国之常立神 豊雲上野神」、『先代旧事本紀』は「天譲日天狭霧國禪月國狭霧尊 天御中主尊 可美葦牙彦舅尊 國常立尊(亦云國狭立尊 亦云國狭槌尊 亦云葉國尊)豊國主尊」という順序で書かれている。
最後に完成した史書が『日本書紀』なのだから、『先代旧事本紀』が狭霧尊を最初の史書の『古事記』に追加して、『日本書紀』が狭霧尊、御中主、宇摩志阿斯訶備比古遅を削除し、3書共通の神の國常立を先頭にしたということは、『日本書紀』が先に『古事記』完成前に古い形で存在し、『日本書紀』を基本に書き換えたことが解る。
最後に新たな史書『日本書紀』を書いたのなら、『先代旧事本紀』を踏襲して国常立を最初にしておけばよく、また、一書に「天之御中主神」や「宇摩志阿斯訶備比古遅神」を残す必要もないし、「天譲日天狭霧國禪月國狭霧尊」のように書かなければよい。
國常立を祀る天氏が國狹槌を祀る人々を破り、御中主を祀る巨勢氏は可美葦牙彦舅を祀る国から政権を奪い、狭霧を祀る物部氏は巨勢氏から政権を奪い、物部氏から更に天氏が政権を奪った。
『先代旧事本紀』は更に「天祖詔伊奘諾伊弉冉二尊日有豊葦原千五百秋瑞穂之地冝汝住脩」と豊葦原千五百秋瑞穂の地は既に用意してあるから治めなさいと述べ、「伊奘諾伊弉冉」は豊国の葦原を譲り受けた国の王となったことを認めている。
そして、出身地も『古事記』は最初の漂着地「磤馭慮嶋」すなわち「淡島」を「意能碁呂島者非所生 亦蛭子与淡島不入子之例也」と数に入れず、「如此言竟而 御合生子 淡道之穂之狭別島」と淡路島を出身地にし、『先代旧事本紀』は「生淡州亦不入子例也・・・先産生淡路州為胞意所不快故日淡道州即謂吾恥也 或本州皆爲洲」と『古事記』に上書きして元から本州を出身地とした。
それに対して、『日本書紀』は「磤馭慮嶋」すなわち隠岐出身で、「先以淡路洲爲胞意所不快 故名之曰淡路洲廼生大日本豐秋津洲」と淡路島出身の国から政権を奪取した安芸出身の国から政権を奪ったと記述した。
神話の誕生にはこのような情報が含まれていたのであり、特に『先代旧事本紀』は「天八下」から「高皇産霊」までの「獨化天神第六之神也」と6神を付け加え、「高皇産霊」は「伊奘諾伊弉冉」と同列で、その他多くの神々が「高皇産霊」の子として記述され、すなわち、「高皇産霊」の子たちは「天照大神」と同等の権威の子たちと言える。
『先代旧事本紀』は実際は「天譲日天狭霧國禪月國狭霧」→「天八下尊」→「天三降」→「天合」→「天八百日」→「天八十萬魂」→「高皇産霊」→「天照大神」という系列の王朝だと宣言しているのではないか。
『古事記』に「次成神名宇比地迩上神 次妹須比智迩去神 次角杙神 次妹活杙神 二柱 次意富斗能地神 次妹大斗乃弁神 次於母陀流神 次妹阿夜上訶志古泥神 次伊耶那岐神」と亦の名を書かないで記述され、これが隠岐での権力の移り変わりと考えられる。

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