2024年8月19日月曜日

最終兵器の目  新しい古代の神話 九州の神4 木国と根国

羽曳野神を祀ったと考えた波比岐には、地名の命名に関する説話がある。しかし、例えば、神武天皇の「秋津州」や雄略天皇の「阿岐豆野」など、地名に関する説話が他にも存在する。

 秋津は「吾岐の津」、つまり「我が国の津」を意味し、我が国には無数の港が存在している。神話を記した氏族にとって、「津」は対馬を指し、「吾岐」は帯中日子の国、すなわち安芸や吉備まで勢力を広げた建日国の日向曾都毘古の国を意味する。

対馬の津国()と同様に、琵琶湖、奈良湖、巨椋池に挟まれた地域には「木国」があり、津と呼ばれていた木津周辺は「岐」と呼ばれていたと考えられる。これは、政権の中枢である宇豆比古の国であったためだ。その結果、他の木国は葉木、久久、隠岐、壱岐などと呼ばれるようになった。

中国人は、これらの木国の一つを「鬼国」と呼び、その宗教を「邪教の鬼道」と称した。しかし、自国を「鬼」や「悪魔」と呼ぶ国は存在しない。これは、圧倒的に強い敵国に対して、攻められる側がつけた呼び名と考えられる。『日本書紀』では「鬼国(guǐguó)」が「貴国(guìguó)」と記されている。宗教も「鬼道」ではなく「貴道」岐()神の道と呼んでいたと考えられ、天皇家の天照大御神のように氏の祖を祀る神道のことだ。卑弥呼の「惑衆」は統率力があったことを意味している。

中国人にとって「鬼国」は、中国と戦う強敵を指していた。『山海經』には「鬼国」が蓋州市周辺に存在したと記述された。『三国志』の倭人伝にも倭の30国の中に鬼国・鬼奴国が登場し、朝鮮でも鬼道を行ったが、中国の臣下になったと描かれている。

木国と同様に、須佐之男が向かった「根国」も、複数の「根」が存在し、王朝によってその場所は異なる。例えば、伊邪那美を葬った比婆の山の「根国」は伊根を指し、伊邪那岐の多賀近辺であれば彦根が該当する。彦根の「彦」は天皇を表す役職名であり、「天皇根」を意味すると考えられる。「根」とは木の幹、すなわち宮の大黒柱を指し、八国の中心であったことを示している。

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