2023年2月17日金曜日

最終兵器の目  『日本書紀』類書『上宮聖徳法王帝説』4

  江戸後期の『上宮聖徳法王帝説』狩谷望之編は続けて「丁未年六七月蘇我馬子宿祢大臣伐物部室屋大連時大臣軍士不尅而退故則上宮王擧四王像建軍士前誓云若得亡此大連奉爲四王造寺尊重供養者 ()軍士得勝取大連也(依此即造難波四天王寺也)聖王生十四年也志癸嶋天皇御世戊午年十月十二日百済國聖明王始奉度佛像經敎并僧等勅授蘇我稲目宿祢大臣令興隆也庚寅年焼滅佛殿佛像流却於難波堀江少治田天皇御世乙丑年五月聖徳王與嶋大臣共謀建立佛法更興三寶即准五行定爵位也七月 立十七條法也飛鳥天皇御世癸卯年十月十四日蘇我豊浦毛人大臣児入鹿臣■■林太郎坐於伊加留加宮山代大兄及其昆第等合十五王子等悉滅之也■■天皇御世乙巳年六月十一日近江天皇(生年廿一)殺於林太郎■■■以明日其父豊浦大臣子孫等皆滅之志歸嶋天皇治天下卌一年(辛卯年四月崩陵檜前坂合岡也)他田天皇治天下十四年(乙巳年八月崩陵在志奈我原也)池邊天皇治天下三年(丁未年四月崩秋七月奉葬或云川内志奈我中尾稜)倉橋天皇治天下四年(壬子年十一月崩實爲嶋大臣所滅也陵倉橋岡在也)少治田天皇治天下卅六年(戊子年三月崩陵大野岡也或云川内志奈我山田寸)上宮聖徳法王又云法主王甲午年産壬午年二月廿二日薨逝也(生卌九年少治田宮爲東宮也墓川内志奈我岡也)」、【丁未年の六七月、蘇我馬子宿祢大臣が物部室屋大連を伐った時に大臣の軍は、勝てず退いたから、上宮王は四王像を掲げ、軍の前に建てて、「もし大連を亡ぼせれば、四王の爲に寺を造り尊んで重々供養しよう。」と誓った。それで軍が勝利を得て、大連を破ったので難波に四天王寺を造った。聖王十四の年だ。志癸嶋天皇の世、戊午年十月十二日に、百済國の主の明王が始めて渡ってきて佛像・經敎、并せて僧達をもたらした。蘇我稲目宿祢大臣に授けて、興隆させた。庚寅年、佛殿・佛像を焼き滅し、難波の堀江に流し捨てた。小治田天皇の世、乙丑年の五月に、聖徳王と嶋大臣、共に謀って佛法を建立して、更に三宝を興し、五行に准じて、爵位を定めた。七月、十七餘法を立てた。飛鳥天皇の世、癸卯年の十月十四日、蘇我豊浦毛人大臣の児の入鹿臣■■林太郎。伊加留加宮にいて、山代大兄及びそれに続く者達、合わせて十五王子達を悉く殺した。■■天皇の世、乙巳の変の年六月十一日、近江天皇(生れまして廿一年)、林太郎■■を殺す。明くる日に、その父の豊浦大臣と子孫達を皆殺しにした。・・・略・・・】と訳した。

『上宮聖徳法王帝説』は『帝記』を参照して記述され、『古事記』が敏達天皇の崩が甲辰四月ではなく『日本書紀』と同じ乙巳年八月、また、『日本書紀』は皇極元年642年壬寅に「天皇遷移於小墾田宮」とあるのに、「飛鳥天皇」と記述しているので、『日本書紀』が係れた大化6年700年より以前に記述されたと考えられる。

論理的に考えられる皇位継承は540年継体天皇目連が24年に崩じ、目連には子が無く、皇太子は荒山、さらにその子の尾輿が20歳頃に皇位を継ぎ、木蓮子の娘宅媛の婿の義兄弟の稲目・倭古の娘小姉君と稲目の、おそらく、磐井の娘との子の堅鹽媛を妃に2代続いて、2代目は20代で即位後数年、571年に崩じ、皇太子の弟の御狩は20歳に達しっておらず、2代目稲目で倭王の渟中倉太珠敷が即位したと思われ、彦人が585年他田天皇死亡時に20歳になる前に、秦王国の穴穂部皇子に渟中倉太珠敷が殺害されたと思われる。

従って、他田天皇も20代で572年に即位、即位時に橘豐日・初代馬子も20代で、池邊天皇崩時587年、子の長男の2代目馬子の豊浦皇子は20歳より前、上宮聖徳法王は14歳なので、橘豐日は30代で死亡となり、また、穴穂部皇子との戦いも勝利して、倭国・秦王国の皇位は橘豐日の姉の夫泊瀬部が即位し、592年に泊瀬部が馬子の婿に殺害され、皇位は妃の豊御食炊屋姫、皇太子は秦王国を継いだ穴穂部間人の子の上宮聖徳法王がなったと思われる。

そして、豊御食炊屋姫は601年に田眼皇女と豊浦皇子に任せ、603年に小墾田皇女と彦人が豐浦宮を出て、628年に豊御食炊屋姫が崩じ、彦人は585年に20歳前なので、629年には薨じていて、彦人の子の息長足日廣額が継ぎ、弟の茅渟王が太子になったが、嶋の子の豐浦宮蝦夷が岡本宮飛鳥天皇を継ぎ、茅渟王の子の天萬豊日は俀王として筑紫、更に百濟に渡って、664年に帰国、小墾田宮には母の吉備姫皇祖母、661年には天豐財重日足姫が跡を継ぎ、13歳になった天命開別が俀国太子となって、664年に後岡本宮蝦夷と入鹿を殺害し、さらに、叔父の唐に嫌われた天萬豊日は殺害若しくは自殺、天命開別が668年20歳になったので即位した。

炊屋姫は、他田天皇時に20代、即位時40歳以上と考えられ、豐浦宮で皇位が継承されていると考えられ、鎌足の年令や皇位継承を考えると、この様に論理づけられる。

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