2021年9月24日金曜日

最終兵器の目  『日本書紀』一書 第九段6

  続けて『日本書紀』慶長版一書()は「・・・於天故天津彥火瓊瓊杵尊降到於日向槵日髙千穗之峯而膂宍胸副國自頓丘覓國行去立於浮渚在平地乃召國主事勝國勝長狹而訪之對曰是有國也取捨隨勅時皇孫因立宮殿是焉遊息後遊幸海濱見一美人皇孫問曰汝是誰之子耶對曰妾是大山祇神之子名神吾田鹿葦津姫亦名木華開耶姫因白亦吾姉磐長姫在皇孫曰吾欲以汝爲妻如之何對曰妾父大山祇神在請以垂問皇孫因謂大山祇神曰吾見汝之女子欲以爲妻於是大山祇神乃使二女持百机飲食奉進時皇孫謂姉爲醜不御而罷妹有國色引而幸之則一夜有身故磐長姫大慙而詛之曰假使天孫不片妾而御者生兒永壽有如磐石之常存今既不然唯弟獨見御故其生兒必如木華之 移落一云磐長姫耻恨而唾泣之曰顯見蒼生者如木華之俄遷轉當衰去矣此世人短折之緑也是後神吾田鹿葦津姫見皇孫曰妾孕天孫之子不可私以生也皇孫曰雖復天神之子如何一夜使人妊乎抑非吾之兒歟木華開耶姫甚以慙恨乃作無戸室而誓之曰吾所娠是若他神之子者必不幸矣是實天孫之子者必當全生則入其室中以火焚室于時焔初起時共生兒號火酢芹命次火盛時生兒號火明命次生兒號彥火火出見尊亦號火折尊齋主此云伊播毘顯露此云阿羅播貮齋庭此云踰貮波」、【それで、天の津彦の火の瓊瓊杵は、日向の槵日の高千穗の峯に降り到って、膂宍の胸副国は、頓丘から國を求めて立ちあがり、波打ち際に浮かぶようにある平地に立って、国主の事勝國勝長狹を配下にして尋ねた。「ここに国が有って、取るも捨てるもおっしゃる通りに」と答えた。それで皇孫は、宮殿を建てて、休息した。そして海辺で遊んでいて、一人の美人を見染めた。皇孫は「お前は誰の子だ」と問いかけた。「私は大山祇の子で、名は神吾田鹿葦津姫、またの名は木花開耶姫といいます。」と答えた。続けて、「また私の姉の磐長姫がいます」と言った。皇孫は「私はお前を妻にしたいと思う、どうだ」と言った。「私には父の大山祇がいます。お願いですから下問してください」と答えた。皇孫は、それで大山祇に「私は、お前の娘を見染めた。それで妻にしたい」と言った。そこで、大山祇は、二人の娘を、飮食の机百を持たして進呈した。その時皇孫は、姉を醜いと思って、召さないで返した。妹は国中で一番の美人と、召し入れた。それで一夜で妊娠した。それで、磐長姫は、とても恥じて恨んで、「もし天孫が、私を避けず召してもらえるなら、生む子は長生きして、磐や石がずっと有るようにずっと王朝が続いたのに。今や、そうではなく、ただ、妹一人のみ召し入れた。だから、その生む子は、きっと木の花のように、短い間に散るでしょう」と言った。ある人が言うのに、磐長姫は恥じて恨んで、悔し泣きして「眼前に広がる青々とした国は、木の花のように、すぐにうつろい衰退するだろう」と言った。これは世人の短命の由縁と言っている。この後に、神吾田鹿葦津姫は、皇孫を見て「私は、天孫の子を妊娠した。私だけでは産めない」と言った。皇孫が 「また天の神子と言っても、どうして一夜で人を妊娠できるのか。そもそも私の子なのか」と言った。木花開耶姫は、とても恥じ恨んで、仕切りの無い小屋を作って、「私が妊娠した、この子がもし他神の子ならば、きっと死んで生まれるだろう。本当に天孫の子ならば、きっと無事に生まれるだろう」と誓って、それでその部屋に入って、火を点けて部屋を焚いた。その時に、焔が最初立ち上がった時に生まれた子を、火酢芹と名付けた。次に火の盛りの時に生まれた子を、火明と名付けた。次に生んだ子を、彦火火出見と名付けた。またの名は火折という。祭りの主は、齋を「いはひ」という。顯露、を「あらはに」という。齋庭、を「ゆには」という。】と訳した。

私は「膂宍」すなわち背骨の肉の表現から、天橋立や海の中道を思い描き、そこが、「むな」国に隣りあう国と理解し、『山海經』の「女祭女戚在其北居兩水閒」と半島の国で素戔嗚の国宗像と思われる丈夫国の近辺だった、女王の国女戚と理解した。

女戚の神を草野姫と理解し、草野姫はもともと野槌という神・木の神が「句句廼馳」で、山や海の神名は無かったが、海の「み」が神で山の神が「かみ」と以前述べたが、その山の神が「山つみ」と考えられ、志賀島から宗像はこの神話によく対応し、磐長姫は草野姫と同時代の「句句廼馳」の前の神話の人物と考えられる。

対馬は対馬海流で流された海士神の海が集まる場所で、対馬の川上にも川神の神がいて、その出会う場所が海辺の河口の津で、そこの王神が「つみ」と呼ばれ、「つみ」の地から船で各地へと交流する場所に津を造り、そこに、配下の「つみ」が定住したのが、各地に「つみ」が存在する理由と思われる。

本文にない火折が記述され、火折が古型と思われ、火の文字を使用しているが、「日」ではなく「ほ」の国の神話だったことがわかり、この一書はいくつもの時代の神話を集めてつなぎ合わせたものと考えられる。   

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