2021年7月7日水曜日

最終兵器の目  『日本書紀』一書 第六段2

  次の一書は、一書()一書曰素戔嗚尊将昇天時有一神号羽明 玉此神奉迎而進以瑞八坂瓊之曲玉故素戔嗚尊持其瓊玉而到之於天上也是時天照大神疑弟有惡心起兵詰問素戔嗚尊對曰吾所以来者實欲與姉相見亦欲獻珍寶瑞八坂瓊之曲玉耳不敢別有意也時天照大神復問曰汝言虛實将何以爲驗對曰請吾與姉共立誓約誓約之間生女爲黑心生男爲赤心乃掘天真名井三處相與對立是時天照大神謂素戔嗚尊曰以吾所帶之剱今當奉汝汝以汝所持八坂瓊之曲玉可以授予矣如此約束共相換取已而天照大神則以八坂瓊之曲玉浮寄於天真名井囓斷瓊端而吹出氣噴之中化生神号市杵嶋姫命是居于遠瀛者也又囓斷瓊中而吹出氣噴之中化生神号田心姫命是居于中瀛者也又囓斷瓊尾而吹出氣噴之中化生神號湍津姫命是居于海濱者也凢三女神於是素戔嗚尊以所持剱浮寄於天真名井囓斷剱末而吹出氣噴之中化生神號天穗日命次正哉吾勝勝速日天忍骨尊次天津彥根命次活津彥根命次熊野櫲樟日命凢五男神云爾」、【一書に、素戔嗚が天に上ろうとする時に、一神がいた。名は羽明玉。この神が迎えて、瑞の八坂瓊の曲玉を進呈した。それで、素戔嗚は、その瓊玉を持って、天に上った。この時に、天照は、弟に邪心があると疑い、挙兵して問い詰めた。素戔嗚が「私が来た理由は、本当に姉と会いたかっただけだ。亦、珍寶の瑞の八坂瓊の曲玉を献上したいだけだ。あえて別の気持ちはない」と答えた。その時に天照は、また「お前は言辞の虚実をどのように証明するのか」と聞いた。「お願いです、一緒に誓約しましょう。誓約の間に、女を生んだら、邪心が有るとしましょう。男を生んだら、清心です」と答えた。それで天の眞名井の三所を掘って、共に向かい合って立った。この時に、天照が、素戔嗚に「私が帯びた劒を、今、お前に進呈しよう。お前はお前が持っている八坂瓊の曲玉を、私に授けなさい」と言った。このように約束して、共に交換して取った。天照は、八坂瓊の曲玉で、天の眞名井に浮かせ引き寄せて、瓊の端を食いちぎって、吹き出した物が化った神を、市杵嶋姫と名付けた。これは遠海に居る者だ。また瓊の中程を食いちぎって、吹き出したものが化った神を、田心姫と名付けた。こは中程の海に居る者だ。又、瓊の尾部を食いちぎって、吹き出た物が化った神を、湍津姫と名付けた。これは海濱に居る者だ。すべて三女神。ここで、素戔嗚は持った劒で天の眞名井に浮べ引き寄せて、劒の末を食いちぎって、吹き出した物が化った神を、天穗日と名付けた。次に正哉吾勝勝速日天忍骨。次に天津彦根。次に活津彦根。次に熊野櫲樟日。すべて五の男神と、云々。】と訳した。

この一書()は、一書()と同系列だが、時代はもっと後で、すでに、大日孁が天照大神と習合・合祀された頃の神話で、市杵嶋、すなわち壱岐の神話と考えられ、『三国志』で、もし、伊都に一大率を置いたことを背景にしているのなら、『古事記』の「日子穂ゝ手見命者坐高千穂宮伍佰捌拾歳」と伊都に高千穂の宮で統治した日王の神話の可能性がある。

もし、そうなら、高千穂宮の記録が580年前から記録が有り、それが、前667年頃なのだから、前90年頃に伊都が一大率を置く倭奴国を建国した可能性が高く、この頃、壱岐の神が宗像の神に合祀された可能性がある。

一書(1)は三女神を降したというように、配下と考えているが、一書(2)は生んだと言っているが、既に、宗像に祀られた女神と矛盾した表現となっていて、三女神を産む瑞の八坂瓊の曲玉と言っているのだから、湍津姫のいる八国から貰った宗像の曲玉で3女神を生んだことになる。

『後漢書』には「大倭王居邪馬台國」と大八国が邪馬台国を統治して、「東度海千餘里至拘奴國雖皆倭種而不屬女王」と、その東の「拘奴國」も倭奴国ではなく、壱岐は倭奴国なのだから、壱岐の3女神が宗像に逃れたことを意味する。

漢の朝鮮北部への侵略は、倭が燕との交易路が無くなり、九州西部の島から六合・朝鮮半島へ進出し、畿内政権とぶつかる事となり、『三国志』の時代に、安芸の政権の「なか国」と同盟して、邪馬台国は卑弥呼が手に入れたようだ。

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