2021年7月16日金曜日

最終兵器の目  『日本書紀』一書 第六段5

 『舊事本紀』前川茂右衛門寛永版は続けて「素戔鳥尊以天照太神御手(?)纏髻鬘八咫瓊五百箇御(?)王濯浮於天真直井亦云去來真名井齬然咀嚼而吹棄氣吹狹霧之中化生六男之神乃含左御鬘玉左手掌中化生之神号日正哉吾勝勝速天穂別尊覆含左御鬘玉右手掌中化生之神号日天穂日命覆含左御髻玉著於左臂化生之神号日天津彦根命覆含右御髻玉著於右臂化生之神号日活津彦命覆含左御手腋玉自左足中化生之神号日熯之速日命覆含右御手腋玉自右足中化生之神号日熊野豫樟日命」、【素戔烏が、天照太神の手と髻鬘に巻いた八咫の瓊の五百筒の玉の御統を、天の真名井(または去来の真名井)にすすぎ浮かべて、噛み砕いて吹きだすと、息吹の霧の中から、六柱の男神が生まれた。すなわち、左の鬘の玉を含んで左の手のひらに生まれた神の名を、正哉吾勝々速天穂別という。また、右の鬘の玉を含んで右の手のひらに生まれた神の名を、天穂日という。また、左の髻の玉を含んで左の肘につけて生まれた神の名を、天津彦根という。また、右の髻の玉を含んで右の肘につけて生まれた神の名を、活津彦という。また、左の手の玉を含んで左足に生まれた神の名を、熯速日という。また、右の手の玉を含んで右足に生まれた神の名を、熊野豫樟日という。】と訳した。

『古事記』前川茂右衛門寛永版は続けて「速須佐男命乞度天照大御神所纏左御美豆良八尺勾璁之五百津之美須麻流珠而奴那登母々由良尓振滌天之真名井而佐賀美迩迦美而於吹棄氣吹之狭霧所成神御名正勝吾勝勝速日天之忍穂耳命亦乞度所纏右御美豆良之珠而佐賀美迩迦美而於吹棄氣吹之狭霧所成神御名天之菩卑能命亦乞度所纏右御美豆良之珠而佐賀美迩迦美而於吹棄氣吹之狭霧所成神御名天津日子根命又乞度所纏左御手之珠而佐賀美迩迦美而於吹棄氣吹之狭霧所成神御名活津日子根命亦乞度所纏右御手之珠而佐賀美迩迦美而於吹棄氣吹之狭霧所成神御名熊野久須毘命并五柱」、【速須佐之男は、天照大神が左の美豆良に巻いた5百の貫いた八の玉を30cmに繋げたの美須麻流の珠を渡してもらって、玉の音がもゆらとするように、天の眞名井に振って滌いで、何度も噛みしめて、吹きつけた息吹の狹の霧によって成った神の名は、正勝吾勝勝速日天之忍穗耳。また右の美豆良に巻いた珠を渡してもらって、何度も噛みしめて、吹きつけた息吹の狹の霧によって成った神の名は、天の菩卑能。また美豆良に巻いた珠を渡してもらって、何度も噛みしめて、吹きつけた息吹の狹の霧によって成った神の名は、天津日子根。また左の手に巻いた珠を渡してもらって、何度も噛みしめて、吹きつけた息吹の狹の霧によって成った神の名は、活津日子根。また右の手に巻いた珠を渡してもらって、何度も噛みしめて、吹きつけた息吹の狹の霧によって成った神の名は、熊野久須毘。あわせて五柱だ。】と訳した。

『日本書紀』・『舊事本紀』・『古事記』の神話は、本来、『山海經』海外南經の「六合之閒四海之内照之以日月經之以星辰紀之以四時要之以太歳神靈所生其物異形或夭或壽唯聖人能通其道」と六合の地である日本海・黄海・東シナ海・太平洋の間にあって、異形の神が生まれる土地の説話で、まさしく神話だ。

伊弉冉死後、自然の摂理に反する物体が神に化けるという神生みが始まり、これは、子を産むのではなく、侵略したり、侵略されて王権が交代する現象を記述したのであり、女王は王だが侵略するのではなく、防衛が役割で、男王が他国へ侵略して婿入りし、女王をもうけて侵略地を支配するという方法で国を広げ、あるいは侵略地の女王を人質として連れ去った神話だと考えられる。

そして、『日本書紀』も『古事記』も葛城王朝の後裔の史書なのだから、本家は葛城だが平郡・巨勢と分流の「なか」国の安芸出身で、葛城氏は日向国王となった日向襲津彦の母方、日向髪長大田根の先祖で、母方の本家があった日向は『古事記』に「肥国謂建日向日豊久士比泥別」と「肥国」の一部で日向髪長大田根の先祖は『三国志』に「一大率檢察諸國畏憚之常治伊都國於國中有如刺史」と伊都国が検察した配下で、「投馬國水行二十日官曰彌彌」と耳という官位を持った一族である。

この項は、実質の皇祖の記述で、『古事記』の官位は耳と『日本書紀』に同じ、大八国に支配されていた『三国志』より以前の人物、穂という地域に侵略した人物で、『舊事本記』の皇祖は、その侵略された穂という地域から逃げたか、忍穂耳の国を分国させた人物を示しているようで、『舊事本記』の推古天皇まで記述した蘇我馬子と『古事記』の巨勢氏、『日本書紀』の平郡氏の素性が理解できる。

それ以外の人物は、葛城氏・平郡氏・巨勢氏のバックボーンになった王家の王祖の人物で、出雲臣の祖の天穂日は君子国の王家の建飯勝を迎え入れ、その末裔で建飯賀田須が大物主で『古事記』の巨勢氏はその娘婿の家系と主張し、巨勢氏や蘇我氏は蘇我氏の韓子宿禰が紀氏の大磐宿禰に殺され、蘇我氏が殺した紀氏の大磐宿禰の墓を土師連小鳥が「作冢墓」と敵対して、『日本書紀』で穂日が祖とする土師氏を『古事記』や『舊事本紀』は祖と記述せず土師氏をバックボーンとしていない。

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