2021年7月14日水曜日

最終兵器の目  『日本書紀』一書 第六段4

  『舊事本紀』前川茂右衛門寛永版は続けて「則掘天之眞名井三處矣天照太神與素戔鳥尊共隔天之安河而相對乃立誓約曰汝若有姧賊之心者汝所生之子必女矣如生男者即以為子令治天原矣天照太神素戔鳥尊共誓約曰吾以(?)纏之玉可以授汝矣汝以(?)帶劔可以授吾矣如此約束相共換取巳畢天照太神乃以素戔鳥尊(?)帶三劔亦云十握劔爲三以化生三神振濯於天真直井 亦云去來真名井 齬然咀嚼而吹棄氣(?嘖 口+賣)狹霧之中化生三女之神十握劔化生之神号曰瀛津嶋姬命亦名忍姬亦日田霧作九握劔化生之神号曰湍津嶋姬命八握劔化生之神号曰市杵嶋姬命」、【そして天の真名井の三ヶ所を掘って、天照太神と素戔烏尊は天の安河をへだてて向かい合い、「お前にもし邪心があるのなら、お前の生む子はきっと女だ。もし男を生んだら、私の子として、天原を治めさせよう」と誓約した。天照太神は、「私が身につけている玉をお前に授けよう。お前が帯びている剣を私に授けなさい」と素戔烏に誓約した。このように約束してお互いに取り替えた。天照太神は、素戔烏が帯びていた三ふりの剣(または十握剣を三つにして、生じた三神)を、天の真名井(または去来の真名井)で振りすすいで、噛み砕いて吹きだすと、息吹の霧の中から三柱の女神が生まれた。十握剣から生まれた神の名を、瀛津嶋姫(または田心姫、または田霧姫)という。九握剣から生まれた神の名を、湍津嶋姫という。八握剣から生まれた神の名を、市杵嶋姫という。】と訳した。

『古事記』前川茂右衛門寛永版は続けて「故尓各中置天安河而宇氣布時天照大御神先乞度建速須佐之男命所佩十拳劔打折三鍜(?段)而奴那登母由良尓振滌天之真名井而佐賀美尓迦美而於吹棄氣吹之狭霧所成神御名多紀理毗賣命亦御名謂奥津嶋比賣命次市寸嶋比賣命亦御名謂狭依毘賣命次多岐都比賣命」、【そのため各々天の安河を間に置いて誓約する時に、天照大神はまず建速須佐之男が帯びた十拳の劒を頼まれて渡して、三つに折って、玉の音がもゆらとするように天の眞名井で振って滌いで、何度も噛みしめて吹きつけた息吹の狹霧によってなった神の名は、多紀理毘賣。亦の名は奧津島比賣という。次に市寸島上比賣。亦の名は狹依毘賣という。次に多岐都比賣の三柱。】と訳した。

これまで、後継者は一人若しくは夫婦であったのに、三貴神から三人以上の後継者を記述するが、実際は三貴神でも国を統治するのは素戔嗚で、この説話で素戔嗚から天照大神に子を取り換えて変更しているのであって、実際は王朝交代を述べているのに過ぎず、元々の神話は一組の夫婦の後継者が記述されたと考えられ、奇肱之国や女子国の神話が基となっている殷時代以降の神話の可能性がある。

『古事記』の基の説話は狹国の霧から生まれたのだから多紀理毘賣と狹依毘賣と多岐都比賣と解り、『舊事本紀』が隠岐・対岐・壱岐の女神に引き継がれているのだから、隠岐の3女神の神話、すなわち、多岐は「おき」と本来は呼ばれていたものが大国の大岐が建国されて、「多岐」→「湍」と表意文字は変化したが、表音は変わらず「おき」なのではないだろうか。

『古事記』は剣で生むのに「奴那登母由良尓」と玉の擬音を記述し、もともと、素戔嗚の瑞八坂瓊と天照の八咫瓊のどちらも王の爾で、どちらが支配するかを決めたと考えられ、基の説話は、剱が無い時代の説話で、その後に剣を使用しだした君主国・八国が受け継いだ神話と考えられ、『舊事本紀』は複数の矛を用いた青銅器時代の神話と考えられ、これらの姫がそれぞれの国の日国の配下の女王となる。

そして、後継女王は其々の王朝の女王で『舊事本紀』では羽明玉から貰った瑞八坂瓊から生まれたのだから、豊国の秋瑞穂之地の女王がおそらく対馬の湍津嶋姫と隠岐の瀛津嶋姫と壱岐の市杵嶋姫で安芸の国の影響下にあると述べている。

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