2021年8月6日金曜日

最終兵器の目  『日本書紀』一書 第七段7

  続けて、『舊事本紀』前川茂右衛門寛永版は「八百万神倶議歸罪過於素戔鳥尊而科之以千座置戸責其祓具則抜鬢殺爪以贖其罪矣覆以手爪爲手端之吉棄以足爪爲手端之凶棄物也覆以唾爲白和弊以?()爲青和幣乃使天兒屋命掌其解除之?()辞而定焉世人慎収巳爪者此其縁也諸神嘖素戔鳥尊日汝所行甚無頼故不可住於天上亦不可居於葦原中國宜急適於底根之國乃共遂降之時乞食物於御食都姫神矣大御食都姫神自鼻口尻取出種種味物種種樂具而奉進之時素戔鳥尊立伺其態爲穢而奉進因殺其大御食都姫神其(?)殺之神於身生物者於頭生蝅於二日生稻種於二耳生粟於鼻生小豆陰生麥於尻生大豆故是神皇産靈尊合取滋成種故(?)追避而降去午時霖也素戔鳥尊結束青草以爲笠蘘而乞宿於衆神云汝是躬行濁惡而見遂謫者如何乞宿於我遂同距之是以風雨雖甚不得留休而辛苦降矣自尓以降來世諱著笠蘘以入佗人屋内此其縁矣 覆諱負束草以入侘人家内有犯此諱者必債解除此太古之遺法也・・・」、【万神達は、素戔烏を「あなたの行いは、無法だ。だから、天の上に住めません。また、葦原の中国にも居れません。すぐに根の国へ行きなさい」と責め、追いやった。去るとき、食べ物を御食都姫にお願いした。大御食都姫が鼻や口、尻から様々な美味しい物を取り出して、いろいろな料理を出すとき、素戔烏はその様子を立ち見して、汚らしいものと思った。そのため、大御食都姫を殺してしまった。その殺された神の体から生まれ出た物は、頭には桑が、二つの目には稲の種が、二つの耳には粟が、鼻には小豆が、陰部には麦が、尻には大豆が生れた。そこで、神皇産霊は、これらを取らせて種とした。素戔烏は、青草を編んで笠蓑として身につけ、神々に宿を借りたいと言った。神々は「あなたは自分の行いが悪くて追われ責められている。どうして宿を我々に願えようか」と宿を断った。それで風雨がはなはだしいのに、休むことができず、苦労して降った。これ以後、世に笠蓑を着たまま、ひとの家の中に入るのを忌むようになった。また、束ねた草を背負って、ひとの家の中に入るのを忌むようになった。もしこれに反すると、必ずつぐなわされる。これは大昔からの遺法である。】と訳した。

この項は物部王朝の資料部分で、「御食都姫」は『古事記』の神武天皇の「若御毛沼」と同地域の人物で「わか」国の「みけ」で「若」国は若狭と考えられ、「若御毛沼」は若狭から難波・紀伊・熊野と移動したことになり、『舊事本紀』の神武天皇の「狭野」の出発地の熊野と関連を持つ。

ちなみに、中国以外で桑を記述する地域は『大荒北經』では「有三桑無枝」と枝が無いと記述され、『海外北經』も「三桑無枝・・・無枝」と養蚕のため枝を切ったのかもしれないが、『大荒南經』には「蜮民之國桑姓」と桑という氏族が記述されるが、「射蜮是食」と石蚕(いさご虫)を食べると記述されるので食用だったかもしれない。

この「蜮民之國」が『大荒南經』の国なので、伊勢・紀伊・四国・九州南部がその対象地域で、『舊事本紀』の神武天皇の「狭野」の関連性が有るのかもしれない。

そして、『海外東經』に「湯谷上有扶桑・・・在黑齒北」と記述され、桑とは異なるとの説が多いが、東北も入るかもしれないが、北海道や樺太以北に桑が有って、「湯谷」より北には「雨師妾國」・「玄股之國」・「毛民之國」・「勞民國」の4国を間に置くだけの『海外北經』の地域「三桑」や「歐絲」と桑や絹糸が有るのだから、扶桑は中国人が桑と類似していると考えても不思議ではない。

絹糸の絲は『海外東經』の「青丘國在其北其人食五穀衣絲帛」と「歐絲」が記述されるだけで、殷以前では、もちろん中国に桑が有るので蚕はいたと思われるが注に蚕食と食用の可能性が有り、日本が養蚕の先進地域だったようだ。

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