2019年11月18日月曜日

最終兵器の目 応神天皇3

 『日本書紀』慶長版は
九年夏四月遣武內宿祢於筑紫以監察百姓時武內宿祢弟甘美內宿祢廢兄即讒言于天皇武內宿祢常有望天下之情今聞在筑紫而密謀之曰獨裂筑紫招三韓令朝於己遂將有天下於是天皇則遣使以令殺武內宿祢時武內宿祢歎之曰吾無貳心以忠事君今何禍矣無罪而死耶於是有壹伎直真根子者其爲人能似武內宿祢之形獨惜武內宿祢無罪而空死便語武內宿祢曰今大臣以忠事君既無黑心天下共知願密避之參赴于朝親辨無罪而後死不晩也旦時人毎云僕形似大臣故今我代大臣而死之以明大臣之丹心則伏剱自死焉時武內宿祢獨大悲之竊避筑紫浮海以從
南海𢌞之泊於紀水門僅得逮朝乃辨無罪天皇則推問武內宿祢與甘美內宿祢於是二人各堅執而爭之是非難決天皇勅之令請神祇探湯是以武內宿祢與甘美內宿祢共出于磯城川濵爲探湯武內宿祢勝之便執横刀以毆仆甘美內宿祢遂欲殺矣天皇勅之令釋仍賜紀伊直等之祖也
【九年の夏四月に、武内の宿禰を筑紫に派遣して、百姓を監察させた。その時に武内の宿禰の弟の甘美内の宿禰が、兄を廃嫡させようとして、天皇に「武内の宿禰は、いつも天下盗ろうとする気持ちが有って筑紫で、ひそかに謀って『私が筑紫を裂いて奪い、三韓を招いて自分に朝貢させ、天下を自分のものにしよう』と聞いている」と讒言した。それで、天皇は、使いを派遣して、武内の宿禰を殺そうとした。その時に武内の宿禰は、嘆いて、もとから二心は無く、忠心で君主に仕えてきた。今何のとがで、罪も無く死ななければならないのか」といった。そこに、壹伎の直の祖の眞根子という者がいた。この者は人格が良く武内の宿禰に似ていた。武内の宿禰一人が、罪も無いのに空しく死のうとしていることを惜しんで、武内の宿禰に、「今、大臣は忠心で君子に仕えていて邪心が無い事は、天下の皆が知っている。出来るなら、密かに逃げて、朝廷に参上して、自分から無罪を弁明して、その後で死んでも遅くない。また、世間がいつも、『私の容姿が、大臣に似ている』と言われている。それで、今、私が、大臣に代わって死んで、大臣のまごころを明らかにしてほしい」と語って、剱に覆いかぶさり自ら死んだ。その時に武内の宿禰は、誰もいないところで大変悲しんで、ひそかに筑紫を逃れて、海で南海から廻って、紀の水門に停泊した。ほんの少し朝廷に参内することが出来、それで無罪を弁明した。天皇は、武内の宿禰と甘美内の宿禰に問いただし、二人は、それぞれかたくなに争ったので、是非の判断が出来なかった。天皇は、神祇に願い求めて探湯をすると詔勅した。それで、武内の宿禰と甘美内の宿禰と、共に磯城の川の辺に出て、探湯を行った。武内の宿禰が勝って横刀を執って、甘美内の宿禰を打倒して、ついに殺そうとした。天皇は、許すよう詔勅した。それで紀の直達の祖を賜わった。】とある。
壱岐は『三国志』に「一大率檢察諸國畏憚之常治伊都國於」と伊都国が支配する地域で倭国の領域の壱岐の王に子孫が就任するのであるから、武内の宿禰と倭国の同盟によって辰斯王を殺させたことが解り、武内の宿禰は「なか国」の中の複数存在する王の一人で、「なか国」の中の筑紫、すなわち、宗像から京都郡を手中にして「なか国」を奪おうとしていると述べている。
武内の宿禰は『古事記』に「比古布都押之信命娶尾張連等之祖意富那毗之妹葛城之高千那毗賣生子味師内宿祢(此者山代内臣之祖也)又娶木國造之祖宇豆比古之妹山下影日賣生子建内宿祢」と武内の宿禰の子孫が紀直等の祖でなければ意味不明な贈姓になってしまい、山代内臣之祖也は巨勢氏の仁賢天皇の時もしくは推古天皇の時蘇我氏が記述したのであるから、これも筋が通らなくなってしまう。
甘美内の宿禰が後に山代の内の臣ということは、武内の宿禰は武という地域に居る内氏の意味、甘美内宿禰は「うまし」という地域の内氏、すなわち、宇摩志麻遅と同じ地域の氏族ということが解る。
『勘注系図』に乎縫の父に意富那比が記述され、『舊事本紀』に「九世孫弟彦命・・・次彦與曽命十世孫淡夜別命・・・次大八椅命甲斐國造等祖彦與呂()命之子次大縫命次小縫命」と小縫父が彦與曽と意富那比イコール彦與曽の可能性が高く、『舊事本紀』に「八世孫倭得玉彦命亦云市大稲日命此命淡海國谷上刀婢爲妻生一男伊我臣祖大伊賀彦女大伊賀姫生四男」とまたの名が市大稲日と記述して、意富那毗と語感が似通い、その子たちが伊賀彦と呼ばれる。
味師内の宿祢は意富那毗の姻戚となり、「九世孫弟彦命」の子が「次玉勝山代根古命山代氷主雀部連軽部造蘇冝部首等祖」と山代の王で味師内の宿祢は山代内の臣の祖で神功皇后は角鹿にいて、南侵した仲哀天皇は木国に滞在し、木国と角鹿の南の山代は敵対関係であると証明し、その敵対関係の地に味師内の宿祢の子孫が領地を得ていた。
そして、紀の水門に停泊したのも、自分の母の領地なのだから当然で、実際は、「なか国」の中で倭国や伊勢遺跡の朝廷と同盟して孤立したが、畿内朝廷からも木国・筑前・日向の領有を認められた可能性が高い。

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