2019年3月29日金曜日

最終兵器の目 三貴子4

  『日本書紀』慶長版は続けて
如吾所生是女者則可以爲有濁心若是男者則可以爲有清心於是天照大神乃索取素戔嗚尊十握剱打折爲三段濯於天真名井然咀嚼而吹棄氣噴之狹霧所生神號曰田心姫次湍津姫次市杵嶋姫凡三女矣
【すなわち、もし私(素戔嗚)の生む子が女ならば、邪心が有りと思ってください。もし、男ならば、邪心がない思ってくださいと言って、天照大神は乃ち素戔嗚尊の十握劒を探し取って、打ち折って三段とし、天眞名井で口をしきりに噛みに噛んで濯ぎ、吹き散らした狹霧から生れた神は、なづけて田心姫という。次に湍津姫、次に市杵嶋姫ですべてで三人の女を生んだ。】とある。
さらに、『日本書紀』慶長版は
既而素戔嗚尊乞取天照大神髻鬘及腕所纒八坂瓊之五百箇御統濯於天真名井然咀嚼而吹棄氣噴之狹霧所生神號曰正哉吾勝勝速日天忍穗耳尊次天穗日命次天津彥根命次活津彥根命次熊野櫲樟日命凡五男矣
【次に素戔嗚尊は天照大神の髻鬘及び腕に纏いた八坂瓊之五百箇御統を乞い取って、天眞名井で口をしきりに噛みに噛んで濯ぎ、吹き散らした狹霧から生れた神は、なづけて正哉吾勝勝速日天忍穗耳尊と曰う。次に天穗日命、次に天津彦根命、次に活津彦根命、次に熊野樟日命すべてで五人の男を生んだ。】とある。
狹霧から子たちを生むのだが、この説話にピッタリの人物が『舊事本紀』の主神の「天譲日天狭霧國禪月國狭霧尊」で「狭」国は対馬の可能性が高いと既に述べた。
続けて『日本書紀』慶長版は、
是時天照大神勅曰原其物根則八坂瓊之五百箇御統者是吾物也故彼五男神悉是吾兒乃取而子養焉又勅曰其十握剱者是素戔嗚尊物也故此三女神悉是爾兒便授之素戔嗚尊此則筑紫胸肩君等所祭神是也田心姫凡三女神矣已而素戔嗚尊以其頸
【是の時に、天照大神が詔勅して、「其の物の根源は、則ち八坂瓊之五百箇御統は、吾が物だ。だから、その五人の男神は、全て私の子だ」。乃ち子を取って養なった。又、詔勅して、「その十握劒は、素戔嗚尊の物だ。だから、此の三人の女神は、すべてお前の子だ」。すなわち素戔嗚尊に授けた。此れが則ち筑紫の胸肩君等の祭る神がこれだ。】とある。
すなわち、素戔嗚が祀る神は胸肩神で、「高天原」はこれより「素戔嗚」の子たちが治めることになったいきさつが書かれている。
「高天原」は「天照大神」の子たちでなければ纏まらないから、「天照大神」の子たちが王となり、更に、その姫が「高天原」の神となって「天照大神」を襲名するのである。
『古事記』前川茂右衛門寛永版は「八尺勾璁之五百津之美須麻流之珠而」と、『古事記』・『日本書紀』共に「八坂瓊」は既に「天照大神」が持っているが、
『舊事本紀』前川茂右衛門寛永版は、「素戔鳥尊將昇天時有一神號羽明玉此神奉迎而進以瑞八坂瓊之曲玉矣」と「羽明玉」が「八坂瓊」を献上しており、これは、王の璽は玉神・魂神と言われる神がこれまで持って治めていた「八坂瓊」、すなわち、「八」国の坂の様にスロープがある瓊が王の璽で素戔嗚が「八国」に代わって新しく王朝を建てたということを意味している。
そして、『古事記』・『日本書紀』は、すでに、「八国」から璽を奪っていて「大国」の中の「八国」の「大八国」と呼んでいたと国生みで記述してきたのである。
そして、『舊事本紀』前川茂右衛門寛永版は、「天照太覆遣天熊人命見・・・水田種子因定天邑君即以其稻種始殖于天狹田」と、水田の開始を天照大神の事績にしているが、「天狹田」は月夜見の国対馬の話である。

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