2019年3月27日水曜日

最終兵器の目 三貴子3

  『日本書紀』慶長版は
始素戔嗚尊昇天之時溟渤以之鼓盪山岳爲之鳴呴此則神性雄健使之然也
【素戔嗚が姉の元の「天」にやってきた時、素戔嗚は広い海を打ち震わせ、山鳴り起こすかのように息を吹きかけ、すなわち、神のように 力強くさせた。】と、まさに、日本海の冬を思わせる景色で、素戔嗚を天国は恐々と迎えたのだろう。
そして、『日本書紀』慶長版は
天照大神素知其神暴惡至聞来詣之狀乃勃然而驚曰吾弟之来豈以善意乎謂當有奪國之志歟夫父母既任諸子各有其境如何棄置當就之國而敢窺窬此處乎
と、大国の「大日孁貴」から登場人物が天国の「天照大神」に神話の王朝勢力が変わり、「三身国(日国)」の後ろ盾で大国を建国し天国の勢力も追い出し、後ろ盾の日国の出先の「素」にいた「佐野男」が攻め込んできたのだろう。
「素戔嗚」の暴虐さの素性を知っていたので、上述のように天国にやってきた様子を聞き顔色を変えて驚いて、【弟が来たのは良い心根でやってきたのか、それとも、国を奪おうと思ってきたのか、両親は既に諸事を子に任せ、境界も出来、与えられた領国を棄てて我が領国の隙を伺うのか】と言った。
『日本書紀』慶長版は
乃結髮爲髻縛裳爲袴便以八坂瓊之五百箇御統纒其髻鬘及腕又背負千箭之靫與五百箭之靫臂著稜威之髙鞆振起弓彇急握剱柄蹈堅庭而陷股若沫雪以蹴散奮稜威之雄誥發稜威之嘖讓而俓詰問焉
【すなわち八坂瓊之五百箇御統でその髻鬘(髪に巻きつけて飾り)にし、そして腕にまき、又、背には千箭之靫と五百箭之靫を負い、肘に稜威之高靹を著け、弓を振りあげて、剱の柄を急いで握り、固い地面を蹈み、股を踏ん張って、土を沫雪の様に蹴散し、神聖な雄叫びで奮いたち、神聖な威圧で問い詰め、すなわち、今にも掴みかからんばかりで問い詰めた。】とある。
それに応えて、『日本書紀』慶長版は
素戔嗚尊對曰吾元無黑心但父母已有嚴勅将永就乎根國如不與姉相見吾何能敢去是以跋渉雲霧遠自来參不意阿姉翻起嚴顏于
【悪い考えは元々持ってなく、ただ、父母の私に対する嚴命が有って、ずっと根の国に就こうとしている。姉と会わずに去ることが出来ましょうか。だから、これで雲のような霧を踏み分けて、遠くからやって来ました。それなのに、姉の顔色を見ると怒っています。】と応えている。
それに対して姉天照大神は質問して『日本書紀』慶長版に
時天照大神復問曰若然者将何以明爾之赤心也對曰請與姉共誓夫誓約之中必當生子如吾所生是女者則
【それならば、どうやってお前の良い心根を明かすのか】とある。
それに對えて、【姉と共に請願したい。それで誓約して、必ず子を生もうではありませんか。】とある。
ここで、既に勝負はついて、素戔嗚の勝ちで、天照大神が勝っていたら追い散らせばよいし、子を産む必要など無く、ここに、天国は日国の支配下となった。
『古事記』前川茂右衛門寛永版も
伊耶那岐大神者坐淡海之多賀也故於是速須佐之男命言然者請天照大御神將罷乃
と、この場面で急に滋賀県に飛ぶのは意味が通らず、この須佐之男は「速」国の配下なので、速国の淡海に「伊耶那岐」がいて、香椎宮は汽水域だったようなのでまさしく淡い海と呼べ、対岸に志賀島が有り、この地域を「賀」と呼んだのだろうか。
汽水域などは日本中にあり、『日本書紀』の神話は黄海から日本海説話で、中国で「倭・大人国・君子国・三身国」と呼ばれる地域の日本海側の中の地域、国生みされた地域内を想定することが必要だ。

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