2019年3月13日水曜日

最終兵器の目 神生6

 『古事記』前川茂右衛門寛永版に
次生伊豫之二名嶋此嶋者身一而有面四毎面有名故伊豫國謂愛止(上)比賣讃岐國謂飯依比古粟國謂大宜都比賣土左國謂建依別次生隠伎之三子嶋亦名天之忍許呂別次生筑紫嶋此次生筑紫嶋此嶋亦身一而有面四毎面有名故筑紫国謂白日別(止)豊國謂豊日別肥國謂速日(別)日向(国謂)豊久士比泥別熊曽国謂建日別次嶋亦身一而有靣四毎靣有名故筑紫國謂白日別止豊國謂豊日別肥國謂速日別日向國謂豊久士比泥別熊曽國謂建日別次生伊岐嶋亦名謂天比登都柱次生津嶋亦名謂天之狭手依比賣賣次生佐度嶋次生大倭豊秋津嶋亦名謂天御虚空豊秋津根別故因此八嶋先所生謂大八嶋國然後還坐之時 生吉備兒嶋亦名謂建日方別次生小豆嶋亦名謂大野手上比賣次生大嶋亦名謂大多麻上流別次生女嶋亦名謂天一根次生知訶嶋亦名謂天之忍男次生兩兒嶋亦名謂天兩屋既生國
 と伊予や筑紫はそれぞれ4国あって面と顔を国の表現に見立て、神話の顔や体などを国の表現する手段とし、国という組織が既にあり、吉備は熊襲と同じ王朝の国で、対馬が前に述べた通りに「狭」という地域の主が支配する国だと述べていることが解る。
それに対して『舊事本紀』前川茂右衛門寛永版は
 「次生伊豫二名州・・・凡産生十四嶋其處處小嶋皆是水沫潮凝而成者也先生大八州兄生淡路州謂 淡道之穂狭別嶋也次伊豫二名嶋謂此嶋身一而有面四海面有名・・・次隠岐之三子嶋謂天之忍許呂別次筑紫之嶋謂身一而面四海面而有名 筑紫國謂白日別豊國謂豊日別肥国謂建日別 日向國謂豊久士比泥別 次熊襲國謂建日別・・・次生六小嶋兄吉備兒嶋謂建日方別・・・次両兒嶋謂天両屋総産生大八洲次六小嶋合十四箇嶋其處處小嶋皆是水沫潮凝而成者也
と、大八州の代表は淡路島で物部王朝の右腕的存在が淡路島出身の国で、筑紫は4面と『古事記』と同じだが、熊襲が筑紫に入っておらず、やはり、熊襲と吉備は同一視して小さい島々がその配下と述べ、他の国々と一線を画した存在と述べている。
 続いて『日本書紀』慶長版は
次生海次生川次生山次生木祖句句廼馳次生草祖草野姫亦名野槌既而伊弉諾尊伊弉冉尊共議曰吾已生大八洲國及山川草木何不生天下之主者歟於是共生日神號大日孁貴
 【(海人なのだから当然まず)海を生み続いて川・山・木を、木の神「句句廼馳」と草の神「草野姫」を、そして天下の主の日神の大日孁貴を生む。】とある。
おそらく、この3神が日本での最初の神話で木や草を生む、生命を産みだすものこそ神で、大日孁貴は子供(生命)を生むのだから、神と古代の人々が考えて当然のことで、他の主が付加される神は既にいくつかの国がありその王だ。
『山海經』は中国の黄帝が活躍する5千年前頃の内容で、その時既に、多くの国が日本列島に存在し、その国其々に「主」がいたと考えるべきで、もし、「天国」が倭なら、天国はまだ国でなく、「三身国」・「大人国」・「君子国」には「主」がいることになり、「大日孁貴」はおそらく「大人国」の神話を流用した神話と思われる。
そして、『山海經』の「海外南經」に「六合之閒四海之内照之以日月經之以星辰紀之以四時要之以太歳神靈所生」と日本海の南に、『山海經』の神話の中で唯一つ神が生まれるところと、『日本書紀』が神生みする場所を述べ、『尚書』の堯典に「帝曰咨汝羲暨和朞三百有六旬有六日以閏月定四時成歳」と義和が暦を堯に教えて、義和は『山海經』太平洋南岸のことを記述した「大荒南經」に「東南海之外甘水之間有羲和之國」、同じく東岸を記述した「大荒東經」にも「東海之外甘水之閒有羲和之國」と日本の東南太平洋側にあったと記述している。
しかも、日本海南部を記述した「海外南經」には「狄山帝堯葬于陽」と堯を葬った場所が有り、暦を教えた義和が日本の神話を伝えなかったとは言えず、葬帝自身が日本列島で活躍し、『山海經』は日本の神話の影響下で作られたのかもしれず、「天地の中」も「六合」も日本の状況を写し取ったものと思われる。

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