2026年7月27日月曜日

最終兵器の目 新しい真実の古代  名を継ぐ1

 「神武天皇の幼名は〝彦火火出見″」、そう記憶している人も、きっと少なくない。しかし、少しだけ神話の奥へと足を踏み入れてみると、その名は、もっと前から語られていた。彦火火出見、それは、天孫・瓊瓊杵の子。山幸として知られる皇子。海神の娘・豊玉姫に婿入りした、あの人物。そして、神武天皇もまた、彦火火出見と名乗る。名が重なる。偶然か? いいや、そこには、古代王権の仕掛けが潜んでいる。

古代の王位継承は、ただの親子の血筋ではなかった。同じ氏族の姉妹に婿入りする婚姻の「習わし」。そして、王家の名、名跡を代々「引き継ぐ」習わし。それらが、王統を紡ぐ糸となっていた。瓊瓊杵は、大山津見神、吾田氏の姉妹、木花開耶姫と磐長姫に婿入りする。木花開耶姫との間に生まれたのが、初代の彦火火出見。彼は吾田氏の跡取りでもあり、兄弟の火闌降もまた、吾田君の祖、同じ家の継承者だ。

やがて彦火火出見は、海神の娘・豊玉姫に婿入りし、その子が葺不合(ふきあえず)。そして葺不合は、豊玉姫の妹・玉依姫(たまよりひめ)に婿入りする。その間に生まれたのが、神武天皇。不思議なことに、彼もまた、吾田邑の娘、すなわち、吾田氏に婿入りして彦火火出見と名乗る。つまり、この名は、ただの固有の名ではない。それは、王家の名跡。称号のように、繰り返し継がれる名。王は、本家と分家の姉妹家系に交互に婿入りしながら、名と血を重ねていった。名とは、家の記憶。名とは、王統の証だ。

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