2024年6月7日金曜日

最終兵器の目  新しい古代の神話 伊耶那伎の貴子たち1

  天照大神は三つの世代が存在した。最初は、伊邪那美と伊耶那伎の子として木祖と草祖を生んだ後の日神の世代である。次に、『舊事本紀』の大日靈貴の世代がある。そして、伊邪那美の死後に伊耶那伎が生んだ天照大御神の世代がある。

天照大神は、『舊事本紀』を記述した馬子も祀る大神であるため、『舊事本紀』にも詳しく述べられている。

伊邪那美が「神避之」の時に生まれた子の中には、埴安彦、埴安姫、稚彦靈日(または稚産霊)がいる。しかし、「火神軻遇突智娶土神埴安姫生稚皇産靈」とも記述されている。稚皇産靈は、伊邪那美・伊耶那伎の子ではなく、軻遇突智と埴安姫の子であり、稚皇すなわち稚国の神子・貴子だとされた。しかし、稚皇産靈も伊邪那美の子と数えられるため、埴安姫も伊邪那美と同等、同世代の神と見なされ、王朝の創立者の母の一柱とされた。軻遇突智は埴安彦を書き換えた可能性が高い。

伊邪那美は黄泉津大神、道敷大神とも呼ばれる。しかし、同じ世代に複数の名前がある場合、神を特定できなくなるため、別の神と見なさなければならない。

人名については、二人だけなら「(オマ)エ」と「吾」で済む。家族内では「父母兄弟姉妹爺婆」でよいだろう。二家族なら吾と「エ」(兄ちゃんと相手を呼ぶことが有る)の家族で済む。三家族以上になると名前が必要になり、住む場所で特定することになる。住む場所が変われば、新しい場所の名前を付け加えて使い、前の名前は使わなくなる。両方の名前を使うと、どこの人物か特定できなくなるからである。前の名前は家族が襲名し、自分は習合されて新しい場所の祖神となる。

住む場所が変わるというのは、婿入りして分家を建てる分祀を意味する。分家には修飾語が付加される。例えば、天常立と国常立の「天」と「国」、伊邪那美と伊耶那伎の「美」と「伎」、底筒之男、中筒之男、上筒之男の「上中底」などである。「上中底」は三身国が白・豊・建に分かれたことを意味するのだろう。

伊邪那美、黄泉津、道敷は、時代が異なる分家が名乗った神、あるいは同じ地域の別神が同じ神だと主張したものと考えられる。

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