2017年11月27日月曜日

最終兵器の現天皇家の古代史 『江田船山古墳出土の銀錯銘大刀』 Ⅳ

銘文問題

  『江田船山鉄剣銘』は被葬者自身が文書の役人であり、中国語が堪能な可能性が高く、銘文自体も中国語読みしなければならないと考えられ、「獲」が訓の「わ」と(訓でもわと読めそうもない)は読みそうもないように思える。もちろん、無理やり上殖葉と読まなくてもよいのだが、1人の候補として上殖葉は有力に感じる。『稲荷山鉄剣』の銘文は日本書紀の語順と異なっていて日本人が普通に読んでいける漢文のようで、『江田船山鉄剣銘』文は漢時代から中国の冊封体制下の倭の官僚になれる能力を持った人物の銘文のようで、「獲・鹵・大・王」の文字が書かれているが文化圏の相違を感じる。「大王奉」も正確な漢文で書かれたと言われる雄略紀に大王に奉献したと「大王奉獻臣」と記述されて臣と女が七區を大王に奉献していて、現在の名詞の奉職の使い方と同じと考えられないだろうか。大王の世なら「大王之世」と、前に付けるなら「治世」が通常の使用方法で、「天皇之世奉日神祀」と「之」を付け「世位」と皇太子の位を継いで東宮にいる。世を王名にせず世の中としても論理に齟齬をきたすわけでもないが、同一時期の「世」を世の中とするなら、わざわざあいまいな「世」を使わず「時」を使えばよく、継体紀と無関係と決めてしまって良いものだろうか。そして、継体紀は『新唐書』の用明天皇=「タリシヒコ」から2代ずれて宣化天皇の頃の筑紫君葛子の長男の火中君の内容の可能性がある。
『日本書紀』
雄略天皇即位前紀 「方屬乎臣。伏願大王奉獻臣女韓媛與葛城宅七區。請以贖罪。天皇不許。」
継体天皇元年正月丙寅 「世云 勿論貴賎 但重其心 盖荒篭之謂乎 及至踐祚 厚加荒篭寵待」
欽明天皇十七年正月 「別遣筑紫火君 百濟本記云。筑紫君兒。火中君弟。」
用明天皇即位前紀 「自此天皇時逮乎炊屋姫天皇之世奉日神祀。」
用明天皇元年正月壬子朔 「是皇子初居上宮。後移斑移斑鳩。於豐御食炊屋姫天皇世位居東宮。」

『江田船山古墳出土の銀錯銘大刀』のまとめ

 大王の世の中と読むと誰から地位を得たのかわからない、「世」を王名としても中国語と齟齬しないことから大王世が被葬者に地位を与えた人物だとわかる。近畿天皇が滅亡した時の大王葛子が中国の冊封体制下の小国から日本国内で君という中心的勢力にのし上がり、糟屋郡は盗られたが筑紫・火・豊を奪われた様子がなく屯倉の物資の献上を免除されて、これら三国の領有を日本国(秦王国)から認められた王となったと考えるべきなのだろう。その証拠が磐井は中国に王と呼ばれたけれど日本国では筑紫国造であったのが葛子は筑紫君となっている。負けて出世しているのだから葛子と新しい天皇は同じ穴の狢で、共に国盗りしたと考えるべきで、日本の天皇・皇太子・皇子ともに死ぬの記事によって新しい王朝が始まったがそれは葛子の王朝ではなく、葛子は近畿とは別に九州中心の王国の大王となった。継体紀では、「世人謂」ではなく云(うん)と特定な人物や書が述べていることを表した「世云」の初代大王葛子の跡継ぎ「世」が践祚し大王となって 『江田船山古墳』の主を事典曹の役職に就任させたと考えるべきで、継体天皇は皇嗣ではないので践祚できない。日本国すなわち秦王国と同盟関係の王となって中国の冊封体制から抜け、この結果隋との対等外交となった思われる。
現代の古代史研究上では日本書紀が間違いというのは簡単なのだろうが日本書紀に書いてあることを間違いでないと論証をすることは不可能だ。一般の古代史研究は記紀は間違いという観点から出発して、持論に合えば正しいとしているが、私は記紀は正しいが矛盾があればその原因を調べるという立場だ。ただ、筑後を含めて肥後の地では磐井の乱以前は弥生末の免田式土器や近畿系の埴輪や吉備の土器が出土している。福岡平野では須玖式・西新式土器や須恵器の広がりは福岡平野に限定されていたようだが、磐井の乱以降に牛頸窯跡群のように須恵器が肥後にも広まっている。九州王朝が卑弥呼時代から全土を統一していたのなら出身地の九州の須恵器の広がりに矛盾を感じる。従って、いわゆる九州王朝は磐井以前まで福岡平野以北の王国だったと言わざるを得ないし、日本書紀は筑後川流域以南は大分の京都郡から出発した王の領域と記述している。そして、皇嗣ではない継体天皇がどうして血縁による正当な皇位継承である践祚ができるのだろうか。また、福岡平野にどうして三角縁神獣鏡があり、前方後円墳があり、矛と剣の文化圏の違いはどう説明できるのだろうか。九州が近畿の影響下であったり、支配されていることがあっても逆の九州王朝が7世紀半以前に日本全土を支配したということは有り得ない。もし、九州王朝と呼ぶとすれば大宰府に条里をもつ都市を作った7世紀後半に畿内と同じ文化圏になったとき日本全体の首都になったと言える。

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