私たちが知る「日本の始まり」は、神武天皇からはじまる、そう教わってきた。そして、その王統が、一筋の糸のように続いていると。しかし、それはあくまで、後で編まれた「統一の物語」。その裏には、もう一つの真実が横たわっている。三つの王家。そして、その太子たちの存在。
鍵を握るのは、やはり、『先代舊事本紀』。この史書の中で、繰り返し現れる官位がある。政大夫、天日方奇日方が政大夫となり、可美眞手が政大夫となり、弟の彦湯支も、子の出雲醜も、これを「ただの官職」と見てしまえば、その本当の姿は、霧の中に消えてしまう。『舊事本紀』ははっきりと語っている。政大夫とは、のちに「大臣」や「大連」と呼ばれるようになる、天皇に最も近い役職と。つまり、それは、王家の太子。天皇の右腕と同等の称号だった。